湯島 名古屋 本郷 江の島 江戸 神田 上野 日本橋 品川 浜町

「玉屋の番頭の甚助が、湯島の聖堂裏で絞め殺されているのを、往来の人が見付けて大騒ぎして

「いや、三年ほど前、名古屋から添状を持って来た男だが、よく気の付く働き者で、今で

平次はここまで追い詰めて行ったのです。名古屋から添状を持って、三年前に来た甚助の苦い顔というものは

屋与次郎という、大跛者の愛嬌者だが、娘は本郷一番のきりょうですよ。あんなピカピカするのは、江戸一番と言っても文句

平次はなんの得るところもなく、本郷へ帰って来ました。

「本郷の与次郎さんは居ますか、――大、大変な事が――」

「行先は東海道だ、――江の島で心中をするんだって」

は本郷一番のきりょうですよ。あんなピカピカするのは、江戸一番と言っても文句を言う奴はありゃしません。玉屋の息子の金五郎

のように渡れる、恐ろしい人間が居るに相違ない、――江戸ではそんな悪者の話は聴いた事がないから、多分他国から流れ込んだ、

その頃の江戸の町人は、滅多に駕籠に乗れなかったもの、急ぐ用事は、二本の

なんという器量の悪さ、二人はスゴスゴと神田へ引揚げます。

二人は黙ってまた神田へ取って返しました。万策尽きた姿です。

行っていた古道具屋の与次郎は、その日の夕刻、上野の鐘が六つ（六時）を打つと一緒に、大変な使いを

駆け出しました。上根岸から御徒士町へ、筋違いから、日本橋へ――。

、その無法な道行から引戻すことも出来たでしょう。が、日本橋へ差しかかった時、与次郎は思わぬ障害に出っ逢しました。

上根岸から日本橋まで、ほんの四半刻ともかかりません。この勢いで駆けて行ったら、

刻ともかかりません。この勢いで駆けて行ったら、品川手前でお糸に追い付き、その無法な道行から引戻すことも出来たでしょう。

「二十三年前に盗んだ御用金三千両は、浜町河岸の石置場、百貫あまりの御影石の下だ――左の小さい楔

「浜町の石置場から見せ金の積りで五十両持って来たが、死骸と一緒