銭形平次捕物控 081 受難の通人 / 野村胡堂
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徳川時代の犯罪には、石見銀山は付きものでした。斑猫や鴆毒は容易に素人の手に入らず、山野の
中毒死というと、一番先に考えられるのは、この石見銀山でした。
「石見銀山があるだろうな」
「どこへその石見銀山を置いたんだ」
「どうしましょう、石見銀山は見えませんよ、旦那様」
「この家の中に、石見銀山の中毒にかからなかったのが一人あるはずだ、そいつは誰だい」
「――その上、お越が石見銀山を隠しておいた場所も、この私だけは知ってましたよ」
「他じゃございませんが――石見銀山を戸棚の上に隠してあったことなら、この私も存じております、
はお松さんをここへ呼んでくれ、――それから、石見銀山の鼠取りを隠しておいたのは、この戸棚の上だな」
中は一面の埃だ、――お越がこの中へ石見銀山を隠したと言うのが嘘か、でなきゃ、曲者はずっと前にこの中
「お松さん、お前さんは石見銀山が戸棚の上にあるのを知ってると言ったが、ありゃ、お前さんの
「すると、石見銀山を見たわけじゃないのだね」
「ところが、この戸棚の上の石見銀山が無くなっているんだ。外から女が入って、踏台をして石見銀山
いるんだ。外から女が入って、踏台をして石見銀山を取って、それを鍋へ投り込んで逃げ出したというのか」
大体あの女は忙しすぎるんです、――曲者は別に石見銀山を外から持って来たとしたら、辻褄は立派に合うでしょう、親分」
とを持っているわけですが、疑わないとなれば、石見銀山が偶然に味噌汁の中へ落ちたとしても済まないことはありません
。――お越は最初から投げてかかったんだ。石見銀山を隠していたのも自分、お雪に二度目の毒の入った水
「戸棚の上の重箱の中へ、石見銀山を入れた様子のないのを見て少し変だと思ったよ。四五日
を見て少し変だと思ったよ。四五日前に石見銀山を入れたなら、埃に形が付かないはずはない。あれほど賢い女が
するはずはないから、――これはヒョッとしたら最初から石見銀山を懐へ入れて、折を覘っていたんではあるまいかと思っ
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鴆毒は容易に素人の手に入らず、山野の毒草は江戸の町では得難く、中毒死というと、一番先に考えられるのは
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「両国の水茶屋のお楽、――あの女も旦那に夢中なんです」
ません。その歳の暮には、源吉がせっせと通い出した、両国のお楽の水茶屋が、原因も判らず焼けてしまったのでした。
は、親類縁者――わけても妹のお松の反対を押切って、両国の水茶屋の女、お楽を二度目の女房に迎えることになりました。
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それは神田から下谷浅草かけて、誰知らぬ者もない評判でした。きりょう好みの源吉が
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そこそこ、歌舞伎役者にもないといわれた男振りと、蔵前の大通達を圧倒する派手好きで、その頃江戸中に響いた伊達者でし
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それは神田から下谷浅草かけて、誰知らぬ者もない評判でした。きりょう好みの源吉が、
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それは神田から下谷浅草かけて、誰知らぬ者もない評判でした。きりょう好みの