江戸 四谷 巣鴨 神田

可愛らしさに釣られて、横合から口を出しました。江戸一番のフエミニストは、斯んな可愛らしい娘に、少しでも嫌な念ひをさ

に出かけることもあるらしいが、念入りに振られ通して、江戸の女の子は、あんなモモンガアを相手にやしません」

上、睡足りないのも我慢して、今日は一日で江戸まで伸さうといふのですから、いや、その元氣と申しましたら」

點の陰影もありません。尤も、今日一日で江の島から江戸まで伸させたのは、外ならぬ金兵衞の發意で、あとの六人は

間といふ立派な座敷を作らうとしたばかりに、四谷の親類へ行つたきり、行方不知になり、近頃はまたあの木の下に

「白梅屋敷は四谷に親類がある相だ、主人金兵衞の叔父さんだといふことだが」

から五年前、義理の弟の金兵衞と一緒に、その四谷の親類へお祝事で招ばれて行き、弟の金兵衞はそのまゝ泊り、兄

「お前は御苦勞だが、その四谷の叔父さんの家へ行つて、五年前のことを詳しく訊いて來て

もう一度指ヶ谷町の喜七の家へ引揚げて來ました。四谷へ行つた八五郎が、丁度汗を拭き／＼戻つて來たところ。

だらう、疑をかけさせない爲に、亭主の金兵衞を四谷の親類に泊らせ、與惣六だけ歸つたところを、庭先の梅の枝から

歩いてゐると斯う、額口の汗ばむやうな晝下がり、巣鴨からの野暮用の歸り、白山あたりへ辿りついた頃は、連の八五郎

に、何やら容易ならぬ者があると見たか、神田から足場の惡さを考へて、土地の御用聞、指ヶ谷町の喜七の