銭形平次捕物控 149 遺言状 / 野村胡堂
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のこと萬端取仕切つてゐる甥の吉三郎さんが、大阪へ商賣用で行つてゐるとかで、迎ひの飛脚を出す騷ぎでし
「へエ、支配人の吉三郎は大阪へ行つて居ります」
兵衞が頓死いたしましたので、その日のうちに大阪へ急使を出しました。何分上り下り二十四日の旅程で、大阪で出發前に
へ急使を出しました。何分上り下り二十四日の旅程で、大阪で出發前に一二日手間取ると見ても、あと六七日經たなければ、
三十の働き盛りで、評判の商賣熱心、伯父の代理で大阪へ行つたのは一と月前、ゆく/\越前屋の身上はこの甥に
預つてゐる筈の番頭清六が殺され、支配人の吉三郎が大阪から歸らなくては、何が何やら見當も付きません。一番疑はれるの
ん。番頭さんが、死んだ上は、吉三郎さんが、大阪から歸つた上で、皆んな顏を合せて、あつしから申上げ、遺言状を取出して
「それから、大阪へ支配人を迎へにやつた越前屋の使ひの者が今日歸つたさうですよ
「川崎の萬年屋だ。大阪から歸つて來る支配人に會つて、いろ/\訊いて見たい」
「うん、あの野郎だ。大阪から江戸まで十二日の旅だが、早飛脚は十日から八日で通すの
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「越前屋から、今朝迎ひが出ました。川崎の萬年屋で落ち合ふ筈ださうで――」
「川崎の萬年屋だ。大阪から歸つて來る支配人に會つて、いろ/\
平次と八五郎が川崎の萬年屋に着いたのは、その日の晝少し過ぎ、越前屋の手代
「川崎から眞つ直ぐに東海道を、大磯まで行きましたよ。吉三郎が前の晩
を調べるまでの事だ。――松五郎を殺して引返し、川崎へ埃だらけになつて來た足取りを調べるだけでも澤山だ」
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日手間取ると見ても、あと六七日經たなければ、江戸へは戻りません」
れて發つた筈だから早くて明日、遲ければ明後日江戸へ入るんですつて」
吉三郎は、平次を加へて、何彼と打語り乍ら、江戸へ入りました。
「うん、あの野郎だ。大阪から江戸まで十二日の旅だが、早飛脚は十日から八日で通すのが常法
糸目をつけずに飛ばし、七日目か八日目に江戸へ着き、案内知つた自分の家へ紛れ込んで樣子を搜つた上、金次の
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「谷中の長海寺で――立派な塔がありますよ」
平次の推理は見事に的中しました。谷中の長海寺の越前屋の墓所の塔の中に、金次をお辰と嫁合せて