道灌山 九州 島原 牛込 江戸 湯島天神 吉祥寺 大久保 品川 日本橋 上野

気も付きませんでした。それは谷中といっても道灌山に近く、寺というよりは無住の庵室で、木立の中に置き忘れた

「有難うございます親分さん。――九州生れの私は切支丹のことをよく存じております。切支丹は放火などをする

は根も葉もないことではありません。天草、島原の切支丹一味が亡びてから、長いあいだ経ちましたが、全国に隠れた切支丹

奉行から名指しで腕っこきの組を二十人ばかり駆り集め、一隊は牛込へ、一隊は麻布へ、一隊は築地へ、有名な寺三つに配置し

三年正月十八、十九日）の丸山本妙寺の振袖火事から江戸は火事つづきじゃありませんか。二年前（万治元年）の本郷吉祥寺の

晩に五ヶ所八ヶ所もあるんだから、いくら火事が江戸の花だって、これじゃやりきれない」

尤もでした。明暦三年から万治三年へかけて、江戸の火事騒ぎは、年代記にも明らかで、大は八百余町を一と舐め

江戸にその頃、表向き切支丹宗徒はなかったわけですが、原主水以来の熱心な

尤もだが、天下静謐の折柄、無理な詮索をして江戸から切支丹邪教徒を挙げるのは面白くない。原主水一味の刑死以来、久しく血腥い

四十七名の切支丹を品川で火刑にしてから三十六年間、江戸にはかつてこのことがなかったのですが、明暦三年の振袖火事以来、

切支丹でないとすると、江戸を恐怖のドン底に陥れたのは、いったい何者の仕業でしょう。それも二人や

の指図で挙げた七十八人の切支丹宗徒とは別に、江戸に火をバラ撒いた本当の曲者を挙げようというのです。その間に平次

企てる様子もなく、それに見境もなく火を放って、江戸の町人を苦しめるということは切支丹にしてもありそうもないことのよう

江戸を恐怖のドン底に投げ込もうとするのは、どんな人間の仕業でしょう。気違いや変質者

ガラッ八は飛び出しました。江戸を恐怖のドン底から救う手がかりが、それでようやく、平次の手に握られた

のは迂遠で、その後夜ごとの火事にしても、江戸の諸方から一度に火の手の挙がる様子は、どう考えても、多勢の者が

はありませんが、幸いに落書のあったのは、江戸の盛り場や目抜きに限られ、平次とガラッ八が、多勢の下っ引を使っ

定めるのが一と苦労でした。道順も札順もない江戸の橋と堂宮を、どう並べたものか、最初は手の付けようがなかっ

江戸の街を掌の中のごとく心得た二人も、谷中にこんな寺があると

「今までの火事は江戸の真ん中ばかりだったが、こんな林の中の、誰も気の付かないよう

つれて、放火の悪業もしばらく休み、一と月ばかりは江戸も平穏な夜がつづきました。

代り、その六人の口を割って、四年に亘る江戸の騒擾者三十幾人は一と晩のうちに縛られてしまったのです

丸橋忠弥の一味だ。あの時お縄に洩れたのが江戸に潜入して、四年越し世の中を騒がすことばかり工夫していたのだ

「あんなことをして江戸の町人どもの心を騒がし、その隙に乗じてまた一と旗挙げるつもりだっ

前（万治元年）の本郷吉祥寺の火事、今年の正月の湯島天神門前の火事と、大きい火事だけでも三つ、その外小さい火事は毎晩

（例）本郷吉祥寺

じゃありませんか。二年前（万治元年）の本郷吉祥寺の火事、今年の正月の湯島天神門前の火事と、大きい火事だけでも

平次の言ったことですが、振袖火事にしても、吉祥寺火事にしても、二日に亘って火は八方から起っております

「大きく出やがったな。大久保彦左衛門様みたいな分別臭い顔をどこで仕入れて来たんだ」

九年十二月九日、原主水等四十七名の切支丹を品川で火刑にしてから三十六年間、江戸にはかつてこのことがなかったの

「そこに抜かりはありませんよ。こいつは日本橋の、こいつは今川橋、――こいつは――」

から日本橋までだから、三つ橋、昌平橋、今川橋、日本橋の順序で読ませるつもりだろう。並べて見るがいい」

橋の欄干にあったんだ。――橋は上野から日本橋までだから、三つ橋、昌平橋、今川橋、日本橋の順序で読ませる

つは橋の欄干にあったんだ。――橋は上野から日本橋までだから、三つ橋、昌平橋、今川橋、日本橋の順序で