銭形平次捕物控 084 お染の歎き / 野村胡堂
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は帰って来ました。一刻ばかり前、急ぎの用事で本郷まで使いに出されましたが、門口を出るとき、始終店へ遊びに来る
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に訊くがいい。俺はもう岡っ引は厭だ。明日は八丁堀へ行って、十手捕縄を返上するよ」
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その足で笠森稲荷側の安宿に取って返すと、
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―この通りだ。あの巡礼の百松は真物か偽物か、川越へ手紙をやって調べて貰ったんだ。その返事はいちいちあの老爺の言う
「あの老爺が、川越在の百姓百松に相違ないと解れば、今度はお崎の身の上を調べて
年越し自分を捜してくれた父の百松と一緒に、川越の在所に帰るより外に望みのないことを言う心算だったのです。
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ですが、東国西国の霊場を廻って七年目で漸く江戸まで辿り着いたというのです。
変らず、贓品や抜荷を扱って、大坂から長崎へ、江戸へと移った後を尋ねて、骨にも沁むような艱難が、去年の
て、骨にも沁むような艱難が、去年の暮、江戸へ入る一足手前の、神奈川の安宿で、お楽の命を奪ってしまった
「音次郎が江戸で古道具屋をしているということが判って、飛んで参りました。
が、待ってくれ、これほどの療治をする名医は、江戸はおろか、京にも大坂にもないはずだが――」
生れ変ったから、お崎と名を変え、大坂、京都から江戸へと流れて来たのだろう」
、川越屋などは身上も気も軽いから、訴え出る日は江戸をずらかる日だ――とこう言うのだ」
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な艱難が、去年の暮、江戸へ入る一足手前の、神奈川の安宿で、お楽の命を奪ってしまったのです。
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ているということが判って、飛んで参りました。谷中の八軒町で、手広くやっている川越屋、――あれが昔の音次郎でござい
仏具まで手当り次第に盗み歩いた不思議な怪盗の詮索に、谷中の寺町まで来たことのあるのを、平次も思い出したのです。
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老巡礼の後を跟け、話しかける折もなく、柳橋を渡って両国まで出てしまったというのです。
分の娘をいつまでも知らずにいるはずはございません。両国から帰るとすぐ、川越屋へ行って、娘を返せと強談すると、――あの音次郎
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ません。渋る私を無理に口説き落して、十年前に長崎へ行ったという音次郎を尋ねながら、罪亡ぼしかたがた、西国巡礼の旅に
音次郎は相変らず、贓品や抜荷を扱って、大坂から長崎へ、江戸へと移った後を尋ねて、骨にも沁むような艱難
「長崎ですよ、先生ッ、十六七年前、長崎で療治したのですよ」
「長崎ですよ、先生ッ、十六七年前、長崎で療治したのです
「十六七年前長崎で?―― なるほどそれで合点が行った、蘭法の療治を受け
「お崎さん、お前は小さいとき長崎に居た覚えはないか」
お崎は悲しく頭を振りました。よしんば長崎に居たことがあるにしても、それはお崎が三歳の
はない。今から十七年前、音次郎に誘拐されて長崎へ行った、あの百松の娘のお染だよ」
なったのだろう。それにはお染ではいけない。長崎で生れ変ったから、お崎と名を変え、大坂、京都から江戸へと
「音次郎は長崎で抜荷を扱うついでに、お前の眼の療治をしてやったが、
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蓼斎の後ろから顔を出したのは、下谷一番と言われた万両分限の主人、佐野屋正兵衛の分別顔でした。
の悪かった音次郎には、友達も親類もなく、わずかに下谷の万両分限佐野屋正兵衛が、親身になって世話をしてくれ、やがて、
その翌る日、平次は下谷の佐野屋正兵衛を訪ねてみる気になりました。一つは、お染
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長崎で生れ変ったから、お崎と名を変え、大坂、京都から江戸へと流れて来たのだろう」
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て見せました。が、浅草橋の御見附を越して、浜町の方へトボトボと辿って行く男巡礼、頽然とした六十恰好の老爺
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平次は顎をしゃくって見せました。が、浅草橋の御見附を越して、浜町の方へトボトボと辿って行く男巡礼、