銭形平次捕物控 065 結納の行方 / 野村胡堂
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三千兩の結納は、江戸の大町人のする事にしても、少し奢りが過ぎます。
錢形平次もさすがに驚きました。江戸の街の眞晝、三人も附添つて行つた三千兩の小判が、
晩のうちに遠方へ逃げて了つたらう。三次は江戸の酒と女と賽ころに引かされて踏み止つたばかりに飼糧切の
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「息子は馬鹿でも、親爺は下谷一番の金持だ。上野の御用を勤めて、何萬兩と溜め込み、
の商人の取次まで引受けて、巨萬の身上を作つた下谷一番の大町人でした。
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「品川の大黒屋常右衞門――親分も知つてゐなさるでせう」
「そんな氣のきかない淺黄裏ぢやない、品川では暖簾の古い酒屋ですぜ」
お關といふのは、十八になつたばかりだが、品川小町と言はれる大したきりやうだ。手代の千代松と嫁合せ暖簾を分ける筈
江島屋から、馬に積んで番頭と仲人夫婦が附添ひ品川大黒屋まで持つて行つて、江島屋の番頭太兵衞や、仲人の佐野屋佐吉夫妻
に首でも縊るかも知れませんよ。それに、品川小町のお關を見ただけでも、飛んだ眼の法樂だ―
「止さないか、馬鹿野郎、――品川は繩張り違ひだ」
番頭の太兵衞が附いて、馬で送つた三千兩が品川の大黒屋に着いて、奧へ持つて行つて開くと、砂利になつて
の見る前で馬につけた三つの千兩箱を、品川の大黒屋の店先で、これも多勢の手でおろされ、奧へ運んで
「品川の大黒屋の方に何かあるだらう」
平次と八五郎は其處から品川まで、三里の道を急ぎます。
、三十五六の浪人、高利の金を貸して、品川一圓の憎まれ者になつて居る、澤屋利助の用心棒、大川原五左衞門
品川一番と言はれた大黒屋が、家業の左前になつたのはツイ五六年
「番頭さん、品川の大黒屋には、怪しいのは一人もねえ、――仲人の佐野屋夫婦は
「それぢや、池の端から品川へ行つた道筋を一昨日の通り歩いて見てくれ。――どんな細かい
「行かう、八、今度は品川だ」
品川の大黒屋へ待つて、昨夜家を開けた者はないか――と訊い
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息子は馬鹿でも、親爺は下谷一番の金持だ。上野の御用を勤めて、何萬兩と溜め込み、金の費ひ途に困
は釣鐘までも扱ひ、その上、役僧達の金融から、上野出入りの商人の取次まで引受けて、巨萬の身上を作つた下谷一番
池の端の江島屋といふのは、その頃上野寛永寺の御用を勤めた、老舖の佛具店で、袈裟法衣、佛