赤坂 今宮 江の島 鎌倉 五大堂 下谷 仙台 恵比寿 上野 大宮 東京

……それからおツ母さんはどこへいツたの」「赤坂の叔父さんとこへ」「さう、ぢや花ちやんは遊びにいツてもいゝよ

あなたこゝはどこだとお思ひなさいますの」いはれて今宮心づき、そもやいづこと見まはせば、今まで目には入らざりしが、いともふり

んで御座いますが、此春の試験休みに、鎌倉から江の島の方へ御出遊した時、恵比寿やとかで御懇意におなり遊

ぞんじませんで御座いますが、此春の試験休みに、鎌倉から江の島の方へ御出遊した時、恵比寿やとかで御懇意にお

社のさま、月にすかしてながむれば、文字もかすかに五大堂、なる程おもへばあの気味わるき、琴柱の橋を渡りし覚はあるやうなり。

こゝは下谷の池の端、名もなまめかしき後朝といふ待合の奥二階、此あついの

其翌々日仙台東北新聞の第三ページには、てもめずらしき文学者の心中といへる

休みに、鎌倉から江の島の方へ御出遊した時、恵比寿やとかで御懇意におなり遊した御様子で御座います」「

むかうに行ツてからがゆツくりしていゝでせう、そして上野から汽車にのるにも、昼より人目がなくツて、どんなにいゝかしれ

うれしいかしれませんよ」「ほんと、ぢや今夜のうちに大宮まで行きませう」おどろいて「これからですか」「ハアなに時間は大丈夫

煙草盆を枕にしながら、今しも女がもてきたりし東京新聞をよみそめしが、稍ありて顔色かへてむくりとばかりおき上り

から此家の女中きたりて、茶代の効能むなしからず、東京にては借家住居の今宮を、衣服の綺羅と顔立の上品になるに