千歳 本所 吾妻橋 雷門 深川 東京 浅草 向島 京橋

て怖ろしいスワンを去った。そして今度行ったのは浅草の千歳という肉屋である。亀甲亭にいる頃知り合になった洋菜屋の世話

「あたし本所の家へ帰るのよ。」

こう言って客はくだを巻いた。そしてとどのつまりは吾妻橋までボーイを送らせたら帰ろうと言うのであった。

彼女はお湯道具や寝巻の入った風呂敷包みを抱えて雷門の街頭に立った時、忿激に燃えて地が揺れるように思われた。

て居るのです。」「此処には入らないのだが深川の支店へ行ってくれませんか？　支店行きなのです。」と

これはまた余りに容易なわざだった。で彼女は、東京にも指を折る程しか無い本式のレストランを除いては、女給の仕事

にして怖ろしいスワンを去った。そして今度行ったのは浅草の千歳という肉屋である。亀甲亭にいる頃知り合になった洋菜

彼女は、今度向島請地の笑楽軒というのへ住み込んだ。食卓がたった二個しか据え

「そうだよ、矢張り京橋の南あたり、専門の胃膓病院へ行かなければ駄目だねえ。」

も職を失った登恵子は今度新聞の案内広告を見て京橋の第一流格のレストランへ出向いて行った。其処は通勤女給というの