大阪 萩 京都 東京

年の十一月も末ごろのことだつたと思ふが、当時大阪の萩の茶屋に住んでゐた落語家の三遊亭円馬が、そのころ花月に

十一月も末ごろのことだつたと思ふが、当時大阪の萩の茶屋に住んでゐた落語家の三遊亭円馬が、そのころ花月に出て

講釈師といつた種類の人達だからなのである。京都で和服を着てゐるのは、茶道、能楽、骨董などに関係のある

もう五十年来寄席通ひをつづけ、今でも京都では唯一の寄席である新京極の富貴亭の定連株になつてゐる私

を伴れて、土佐から移つて来たばかりの、私の京都のわび住居をたづねてきてくれたことがあつた。円馬はもう中風

人達が多いので、みんな白足袋ばかりはいてゐるが、東京からやつて来る、それらの市井の芸人達は、まず大抵は黒足袋

方が多い。それといふのが和服の客は、多く東京からやつてくる、落語家、講釈師といつた種類の人達だからなの