昭和遊撃隊 / 平田晋策
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わが巡洋艦『最上』は、激流にさしかかると、ぐっとばかりに四十五度の転換をやって、
水門に行き悩む巡洋艦『最上』
島の水門へ、水煙を立てて突っこんで行った巡洋艦『最上』。
が、ごおーっと音をたてて、八千五百噸の大艦『最上』も、やがてもうもうとたち上る水煙につつまれてしまった。
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で上手に櫂を漕いで、沼のような碧海湾を、槍ヶ岳の洞窟へ急いだ。
槍ヶ岳の洞窟には、狼岩を離れて来た『最上』が、大きな図体を
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さんが、岩にひざまずいて、はるかに北の空千代田の皇居の方を、ふし拝んでいた。
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また、シベリヤには、三十万以上の赤軍が集って、満洲の国境を、機械化兵団が、とりかこんでいる。アムール河の水にうつる軍帽の
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、大きなやつが五隻もありますからね。敵は『赤城』『加賀』『竜驤』『鳳翔』四隻で、そのうち二隻は小さい
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大きさはわが四国くらいの島で、熱帯の海に近いから、海岸の砂浜には、大王椰子
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出来上ると、私は、すぐに『オリオン』につんで、犬吠埼の沖へ出動しますよ。」
、黒潮の波は、敵機をのんで跡も残さず、犬吠埼の方へ流れて行く。
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大将は森厳な伊勢の神域にうずくまって、沈黙の祈をささげた。
「それに、東京湾には、『金剛』も『伊勢』も、『扶桑』もいるぞ。傷をうけたが『陸奥』も戦える
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に乗って、横須賀から伊勢湾に向って急行した。伊勢神宮に戦勝を祈るためである。
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伊豆の海は荒れて、白い波頭がおどっている。もう八丈島をすぎた。
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宮城の中に大本営が置かれ、戒厳令が下った。
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ただある夜おそく、武田大佐と清少年が、代々木なる明治神宮の大鳥居をくぐったことを、神苑の森に棲む梟たちは知っている。
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「叔父さん、この絶壁の形、なんだかアルプスに似ているわね。――」
「アーサー、お父さんは、今、アルプスの嶮をこえたナポレオンと同じだぞ。美しい都が眼の下にあるの
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とまちがえたりしながら、とうとう九月三十日の明けがたはやく、房総半島の東、黒潮の急流をのりこえて、九十九里浜の沖へせまった。
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は、松山中将の第一航空戦隊だ。『赤城』『加賀』『竜驤』――すごいやつがそろっている。まるで鋼鉄の浮き要塞だ。
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「それに、東京湾には、『金剛』も『伊勢』も、『扶桑』もいるぞ。傷をうけたが『
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小笠原の父島に、旭山の要塞があることは知っている。しかし、父島要塞の北に、そんな秘密
軍艦行進曲がながれるように聞えてくる。旭山の森には、陸軍の重砲兵隊が、別れの信号旗をかかげている。
見よ。旭山の向うから、第二艦隊の『愛宕』『高雄』『那智』『妙高』
小笠原島よ。さようなら。春の風はあたたかいが、旭山の上をながれる雲は、なんだか黒くて、気味のわるい色をしている
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『千代田』の艦長北浦少佐は、江田島の兵学校の時から、冒険の大好きな乱暴者だった。
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は、三百二十四隻だったが、きのうの晩、航空母艦『アマゾン』と巡洋艦『ユーコン』が沈められたから、二隻へったのである。
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はるかに、水平線の上に、白い白い富士山の影が、くっきりと見える。
ああ波にうかぶ、なつかしい霊山芙蓉峰よ。富士山よ。――ねがわくは、母国日本をとこしなえに守りたまえ。――※
そうだ。あの清い清い富士山の山霊が、ひそかに、博士の大使命を、守っていたのにちがい
「うん、あれが富士山だ。」
「ああ、あれが富士山ですか。いい山だなあ。」
しかし、フーラー博士は、富士山の大きな、深い美しさを感ずることが出来ない。彼の心は、東京爆撃
金色の富士山
、はるか水平線の上に白くうかぶは芙蓉の峰、――富士山だ。
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一ばん遠くまで逃げた第七号機は、箱根山の上で、けな気にも、「どうせ死ぬ以上は、せめて『富士』に衝突し
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を見上げながら、去年の夏白馬山へ登って、雄大な飛騨山脈をながめた時のことを想い出した。
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それは今、建造中の巡洋艦『最上』『三隈』『吉野』『千種』の四隻に関する秘密だ。
ところが、わが『最上』『吉野』は違う。
『最上』以下、世界にほこる軽巡洋艦『三隈』『吉野』『千種』の精鋭。それに名も勇ましい怪物潜水艦『八島』『千代田』
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いるわが第三艦隊司令長官木村中将は決心した。旗艦『出雲』のマストには戦闘旗がかかげられた。
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だ。でたらめではないのだ。もしも黒鷲爆撃隊がハワイへやって来たら、わが東京はもう最後だ。十時間もたたないうちに
ハワイの真珠軍港から千浬ほど西に、ミッドウェー島がある。太平洋のまん中にぽっかり
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円陣をつくる大絶壁! そのいかめしい姿は、まるで海上の日本アルプスだ。
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だから、この地雷の野原を一時引きあげて、印旛沼の方から、遠まわりして東京へ攻め入ろうと考えた。新しい司令車から、「
向うに印旛沼の水が白く光って見える。葦原をわたる秋の風が、なまぐさい。
傷ついたライオン戦車隊は、死神に引かれるように、印旛沼へ、印旛沼へといそぐのだ。
ライオン戦車隊は、死神に引かれるように、印旛沼へ、印旛沼へといそぐのだ。
印旛沼に追いつめられたライオン戦車隊は、佐倉聯隊を相手に最後の奮戦をした
印旛沼の岸についた時には、五百輛の大群が、わずか二百輛になっ
わが潜水艦『富士』は、黒い影を印旛沼の水の上へ落して、東の方、太平洋の波をめがけて猛進
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今、仙台の東北帝大は、憲兵が厳重に警戒している。金属研究所の加熱炉の
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怪物が今や、呉工廠、横須賀工廠、神戸川崎造船所、長崎三菱造船所の四大工場で、一日一日と完成に近づいているのだ
を離れ、呉にも、神戸にも、横須賀にも、長崎にもいないのだ。それだのに聯合艦隊の中に、その姿
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――こんな怪物が今や、呉工廠、横須賀工廠、神戸川崎造船所、長崎三菱造船所の四大工場で、一日一日と完成に近づい
を終って、造船工場の手を離れ、呉にも、神戸にも、横須賀にも、長崎にもいないのだ。それだのに
に、わが四隻の戦艦は、横須賀、呉、佐世保、神戸の船渠に入って、装甲をつくろったり、新しく大砲を据えつけたりした。
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兄島の岬にさしかかっているのは、松山中将の第一航空戦隊だ。『赤城』『加賀』『竜驤』――
『死の戦い』だったのだ。戦艦五隻爆沈、松山航空戦隊全滅、第一水雷戦隊も全滅に近かった。
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このほか、『最上』には東京帝大の青木博士が造った世界一の光学兵器があり、又、長岡半太郎
清君のことである。清君は今年十六歳、まだ東京府立○中の三年生だが、その脳力は、もう帝大工学部の
には武田博士の好敵手フーラー博士がいる。昭和四年に東京でひらかれた世界工業大会で、二人は汽船の機関について大激論
黒鷲第十号機が出来上ったら、わが空軍は三日間で、東京を焼野原にすることが出来るのだ。」
。もしも黒鷲爆撃隊がハワイへやって来たら、わが東京はもう最後だ。十時間もたたないうちに、かれ等の思うがまま
年老いた東京のお母さまの顔が、雲の中にぼんやりと浮かんで見える。
大将の大艦隊は、一隻も傷つかずに、今や東京をめがけてぐんぐん攻めて来ているのだ。
乗だ。三年前に、大使館の武官になって、東京にいたことがあるから、末山大将をよく知っている。そして、昔
は、本日午前四時、東京市を爆撃せり。あわれなる東京は今や大火災を起し、噴火山のような黒煙と焔をはきつつあり。
に急ぎつつあり。『荒鷲』は、本日午前四時、東京市を爆撃せり。あわれなる東京は今や大火災を起し、噴火山のような
「……われ等は、もう一度東京を攻撃して、日本を降伏させねばならん。……アリゾナの
でも、悲鳴をあげて降伏するでしょう。……だいたい、東京は、もう今度の爆撃で、半分近く焼野原になっているんですから
「そうです。陸の大艦隊をもって、東京をふみつぶし、関東平野をあばれまわるんです。」
東京へ、東京へ。
東京へ、東京へ。
てしまってもいいから、一度日本を征服したいなあ。東京が焼けるのを見てから死にたいなあ。……
太東岬の西北は、東京である。
東京爆撃のほか、なにも考えていない。東京へ、東京へ。
心は、東京爆撃のほか、なにも考えていない。東京へ、東京へ。
深い美しさを感ずることが出来ない。彼の心は、東京爆撃のほか、なにも考えていない。東京へ、東京へ。
ああ、もう五、六分で東京の空だ。
「荒鷲第一中隊! 東京は、まさにわが翼の下にあり! A国飛行隊の名誉にかけ
「われはテルミット弾で東京を焼いてしまう決心だ。日本人の泣面が見えるようだ。」
フーラー博士の『荒鷲』爆撃隊が、東京を全滅させることが出来たかどうか。それは後でお知らせしよう。
の野原を一時引きあげて、印旛沼の方から、遠まわりして東京へ攻め入ろうと考えた。新しい司令車から、「後の松林へさがれ。」
「東京をふみにじってやりたかったなあ。」
、全滅しても、荒鷲爆撃隊は負けませんぞ。東京は、今ごろ焼野原になっているでしょうよ。」
だ。中佐がいばるのに不思議はない。しかし、もし、東京が、空襲されていたら、立川中将のところへ、すぐにしらせが
だけが、えらい人種だと思っているのだ。ははは、東京へつれて帰って、わが東洋のいい芸術でも見せてやれ。きっと考え
たりしないから心配したもうな。君は帯剣のまま東京へ行くんだ。そして、日本人が白人に劣っているか、どうか、
『富士』が友機を追撃しているすきをねらって、東京へ進入し、神風戦闘機と戦いながら、大無線電信所を爆撃した。
荒鷲』第二中隊の六機が、いまや第二回東京爆撃に向おうとしている時だ。
紅玉島の無線電信局が、東京に向って、『休戦』を乞うて来た。ぐずぐずしていると、
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年の二学期から学校を休学して、博士と一しょに目黒の海軍技術研究所へ通っているのだ。
た二人は、錨の印のついた自動車を走らせて目黒の岡に向った。大佐がハンドルをにぎっている。自動車はとある森かげ
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たくましいことは、海の猛獣のようだ。『愛宕』『高尾』『摩耶』『鳥海』『那智』級四隻もいる。『加古』
近づいて見ると、それは『愛宕』の姉妹艦『高尾』だった。ひどい姿だ。櫓は根もとからたおれ、煙突はふきとばされ、
『最上』は信号旗をかかげた。すると、もえる『高尾』の上甲板から、手旗信号で返事があった。
これが巡洋艦『高尾』の最後の言葉だった。この信号が終ると、弾薬庫に火が
水兵たちは、『高尾』の沈んだ後の渦巻を見ながら、拳をふるって泣いた。
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「……代々木の森にしずまります明治天皇さまの尊いみたまに申し上げます。どうか海軍を
ただある夜おそく、武田大佐と清少年が、代々木なる明治神宮の大鳥居をくぐったことを、神苑の森に棲む梟たちは知っ
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――日比谷第二戦隊司令官は末山司令長官の戦死を告げた後で、すぐに『最上
日比谷少将は、残念そうに舌をならした。
思わぬ一撃をうけて、日比谷司令官の心は暗い。
うかび上って来たのは、これぞわが勝利海軍の精鋭、日比谷中将のひきいる『陸奥』『扶桑』『金剛』『伊勢』の四大戦艦
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思えば恐しい戦だった。木更津をすぎて、もう品川の台場もちかい時、目の下の白い雲をつき破って、大怪物が
そうだ。この日の朝、もしも長岡液を品川の沖で、つみこむことが出来なかったら、『富士』は、この一撃で
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。しかも戦略的に見ると、太平洋作戦の根拠地として、東京湾に次いで重大なところなのだ。横須賀、呉、佐世保三軍港のどれ
遊撃隊の潜水艦『千代田』から、「A国艦隊が東京湾に向っている。」と知らして来てから間もなく、「航空母艦
『最上』をさがしていられないのだ。敵艦隊は東京湾に近づいている。末山艦隊はもう出動しているかもしれない。いよいよ
傷ついて東京湾へ帰って行くわが艦隊を、敵の潜水艦が襲撃したのだ。『
「それに、東京湾には、『金剛』も『伊勢』も、『扶桑』もいるぞ。
、飛行潜水艦『富士』の艦長であります。ただ今、東京湾で敵の荒鷲爆撃隊を撃退し、今から九十九里浜の沖にいる敵
東京湾へ向った荒鷲第一中隊は、木更津の沖で、とつぜん海の中から
大森の山王の森へうち落された。第九号機は東京湾の波のもくずと消えてしまった。
『荒鷲』爆撃隊よ。降伏せよ。第一中隊は、東京湾上で全滅したぞ。」
「降伏を許す。東京湾観音崎沖へ行け。われ海中より監視す。不穏(おだやかでない)の行動
武勲かがやく昭和遊撃隊は、碧海島を後にして、いよいよ東京湾へ凱旋するのである。
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明けがたはやく、房総半島の東、黒潮の急流をのりこえて、九十九里浜の沖へせまった。
二十隻のA国運送船隊は、九十九里浜の土をけがそうとして海岸近く迫って来た。
今、東京湾で敵の荒鷲爆撃隊を撃退し、今から九十九里浜の沖にいる敵艦隊の撃滅に向います。大日本帝国万歳! 帝国陸軍
した飛行潜水艦『富士』は、弾丸のような速力で九十九里浜の上空へあらわれた。
ぐずぐずすると全滅ですよ。はやくはやく、降伏のしるしに、九十九里浜の海岸へ降りて下さい。」
と、第四号機は、まっ赤な火につつまれて、九十九里浜の波打ちぎわへ、どっと燃え落ちていたのだ。軍法にそむく者の最期