極楽寺 鎌倉 ワイキキ サンフランシスコ 横浜 言問橋 墨田 九州 ホノルル ベルリン 下関 ナポリ 関西 ハワイ 高知 広島 神戸 東京 銀座 渋谷 恵比寿 向島 浅草 新宿 隅田川 稲村ヶ崎 七里ヶ浜 ロスアンゼルス ロングビイチ

、おられたことが解り、二人の間に、七里ヶ浜や極楽寺辺りの景色や土地の人の噂などがはずみ、ぼくは浮々と愉しかったの

。これは帰朝してから、聞いたことですが、故郷鎌倉での幼馴染の少年少女も来ていてくれたそうです。なかでも、

、実行はしませんでしたが、その前年の夏、鎌倉の海で、一寸遊んだ、文化学院のお嬢さんに、ラブレタアを書いてやろう

ただ、二人でよく故里鎌倉の浜辺をあるいている夢をみる。ふたりとも一言も喋りはしない。それ

しているうちに偶然、そのお嬢さんがぼくの育った鎌倉の稲村ヶ崎につい昨年迄、おられたことが解り、二人の間に、七里ヶ浜

ぼくはその夏、鎌倉の家へ行っていました。

ワイキキ。プウルを村川と二人、平泳の競泳をしながら、日本へ帰ったらうんと

て貰う。尚、その程度によっては、ホノルルなり、サンフランシスコなりに、船が着いたら、下船させてしまうぞ。スポオツマンとしての

が、一人で月を眺めていました。月は、横浜を発ってから大きくなるばかりで、その夜はちょうど十六夜あたりでしたろうか。太平洋

横浜を出てから一週間も経った頃、朝の練習が済むと、Ｂ甲板

俺は日本が好きだ。若いとき、船乗りだったから、横浜や、神戸に、度々行ったよ。ゲイシャガアルは素晴しいね」とか言い、皺くちゃ

一々、騒ぎたてていました。東海さんの処へは、横浜で、テエプを交した女学生七人から、連名のファン・レタアも来たりし

ハワイをでると、あとはもう横浜まで海ばかりだという気持が、なにかぼくを気抜けさせるものがあって

横浜まで、あと一週間という日になった。

を籠め、「秋ッペさん泣くのはおよしよ。もう横浜が近いんだ」

あの夜、それだけで別れて横浜まで、お逢いしなかった。けれど、あのときの別れが、今日迄も続い

その翌日――横浜に着く四日前――ぼくは酒を飲みました。

そうして、横浜に着きました。

さて、横浜に着く迄に、あなたに訊いておきたかった一言は、やはり、「あなたは

県人会でお逢いした翌日、ぼくは横浜へ着いた日に撮ったあなたの写真を、すぐあなたの寄宿舎のほうへ送っ

遥か、浅草の装飾燈が赤く輝いています。時折、言問橋を自動車のヘッドライトが明滅して、行き過ぎます。すでに一艘の船もい

、『はろばろと海を渡りて、亜米利加へ、ゆく朝。墨田の辺りにて求む』と書きました。

。すでに女房を貰い、子供も一人できた。あなたは、九州で、女学校の体操教師をしていると、近頃風の便りにききました

、処分して貰う。尚、その程度によっては、ホノルルなり、サンフランシスコなりに、船が着いたら、下船させてしまうぞ。スポオツマンと

ホノルルの日本領事館で、官民合同の歓迎会が催されたのち、邦人の方の御

、相不変の心臓もので、ぼく達よりも一船前にホノルルを去った野球部のＤさんやＨさんに、生のパインアップルをやけに沢山託

≪二三日前、新聞でオリムピック選手達が、明日ホノルルに寄航するという記事を読み、坂本さんにも会えると思ったら、その晩

かと危ぶまれることです。この上は、四年後のベルリンに備えて、明日からでも不断の精進を続け、必ず今日の無念さを

に書いてくれた美少年上原が、女に身を持ち崩し、下関の旅館で自殺をしたときいた。銀座ボオイの綽名があった村川が

景色あり、汽船あり、汽車あり、支那街あり水の都ナポリありで、ぼくは歩いている中、なにか、サンボリストの詩みたいなものを

と、横から、東海さんが、大声で、「あれは関西で、白痴のことを言うんだよ」と言えば、沢村さんも、「

ハワイの想い出は、レイの花からでした。

それから、間もなく催して頂いた、ハワイの官民歓迎会の、ハワイアン・ギタアと、フラ・ダンス、いずれも土人の亡国歌

、すぐ発見して、なにか可憐しく思ったのです。ハワイでは、あなたと一度も、話し出来ませんでしたが、ぼくは、美しい

はたえず雨に降られている。これは、その昔ハワイの王様なんとか一世が、なんとかいう蛮人の酋長を、火牛

ばかに惨めにみえました。が、その苦しさも、ハワイの素晴しい自然が、すぐ慰めてくれ、甘いものとする。そう考えるほど、ぼく

午後から、ハワイのロオイング倶楽部に、招待されて練習に行きました。

あとで、船室に集まった皆が、ハワイでの収穫を話しあったとき、坂本さんが、ニヤニヤ笑いながら、ぼくとだぼ沙魚

するだけの根拠はなかったのですが、図らずも、ハワイで買った紅いセエム革の手帳が、それに役立つことになりました。

ハワイを出て、海は荒れだしました。甲板に出ても、これまで群青

言う処です。幼いマルキストであったぼくですが、――ハワイを過ぎ、桑港も近くなると、今更のように、自分は日本選手だ、

ハワイに入る前夜、園遊会が盛大に開かれ、会長のＫ博士夫妻もインデアンの羽根飾り

再び青きハワイ――。

催されたのち、邦人の方の御好意で、選手一同ハワイの名勝ダイヤモンド・ヘッドからハナウマイへかけて、見物させて貰いました。殊に

出帆前の船に、またハワイ生れのお嬢さん達が集まって、華やかな、幾分エロチックな空気をふりまいてい

ハワイをでると、あとはもう横浜まで海ばかりだという気持が、なにかぼく

ですけれど、まだ知りません。ずっと東京です」「そう。高知は良い国よ。水が綺麗だし、人が親切で」「ええ、

高知の、どこでしたの」と言います。「いや、高知は両親の生れた所ですけれど、まだ知りません。ずっと東京です」「

訊ねました。あなたは頷いてから、「坂本さんは、高知の、どこでしたの」と言います。「いや、高知は両親の生れ

続いた後で、ぽつんとぼくが、「熊本さんも、高知ですか」と訊ねました。あなたは頷いてから、「坂本さんは、

と、あなたも声を立てて、笑いながら、『土佐の高知の、播磨屋橋で、坊さん、簪、買うをみた』と裾を

日本人のコックさんが、広島弁丸出しの奥さんと一緒に、すぐ、久し振りの味噌汁で、昼飯をくわして

が好きだ。若いとき、船乗りだったから、横浜や、神戸に、度々行ったよ。ゲイシャガアルは素晴しいね」とか言い、皺くちゃの顔

も、遊びに行こうとは思っておりましたが、ともあれ東京に実家があるので、一度は荷物を置きに、帰らねばなりませ

は両親の生れた所ですけれど、まだ知りません。ずっと東京です」「そう。高知は良い国よ。水が綺麗だし、人が

その頃、ぼくは、銀座のシャ・ノアルというカフェのＮ子という女給から、誘惑されて

、仲間はずれになっている、ＫＯのフォアァの補欠で、銀座ボオイの綽名のある、村川と、一等船客専用のＡ甲板を――

帰って暫くして、銀座のシャ・ノアルにクルウが揃って行ったことがあります。初めに書い

と突っ立っていたぼくは、折から身体を押して行く銀座の人混みに揉れ、段々、酔いが覚めて白々しい気持になるのでした

を持ち崩し、下関の旅館で自殺をしたときいた。銀座ボオイの綽名があった村川が、お妾上がりのダンサアと心中して一人

。一縷の望みだけをつないで、また車をつかまえると「渋谷、七十銭」と前二回とも乗った値段をつけました。

でいて、家につくと、彼は突然、ここは渋谷とはちがう、恵比寿だから、十銭ましてくれ、ときりだしました

ぼくはまた、自動車で、渋谷から向島まで行きました。熱が出たようにあつい額を押え、憤り

臭くなったぼくは、折から来かかった円タクを呼びとめ、また、渋谷へと命じました。

につくと、彼は突然、ここは渋谷とはちがう、恵比寿だから、十銭ましてくれ、ときりだしました。てッきり、嘗め

ぼくはまた、自動車で、渋谷から向島まで行きました。熱が出たようにあつい額を押え、憤りと悔い

巡査に呼び咎められました。それ迄は、これから、向島の待合に行って、芸者と遊んだ末、無理心中でもしようかと

出発の朝、ぼくは向島の古本屋で、啄木歌集『悲しき玩具』を買い、その扉紙に、『

、妙に心ぼそい感じで、ベランダに出ました。遥か、浅草の装飾燈が赤く輝いています。時折、言問橋を自動車のヘッドライトが

すでに書き溜めの原稿紙も五六十枚になった頃、偶然、新宿の一食堂で、中村さんに逢いました。

して、行き過ぎます。すでに一艘の船もいない隅田川がくろく、膨らんで流れてゆく。チャップチャップ、船台を洗う波の音が

モオニング・ランも、午前と午後のバック台も棒引も、隅田川にいるときとは比べものにならないほど楽だったし、皆も、向う

小波ひとつなく、目にみえる流れさえない掘割でした。隅田川の濁流、ポンポン蒸汽、伝馬船、モオタアボオト等に囲まれ、せせこましい練習をして

しかし、ぼく達も、隅田川での恋人、「さくら」が、一足先きに艇庫に納まり、各国の

回、午後に四回とコオスを引き、それでも、隅田川にいた頃に較べれば、軽すぎるほどでした。タイムは、それに

不節制のあとが歴々と刻まれ、曇り空、どんより濁った隅田川を、艇は揺れるしオォルは揃わぬし、外から見た目には綺麗で

いるうちに偶然、そのお嬢さんがぼくの育った鎌倉の稲村ヶ崎につい昨年迄、おられたことが解り、二人の間に、七里ヶ浜や

おられたことが解り、二人の間に、七里ヶ浜や極楽寺辺あたりの景色や土地の人の噂などがはずみ、

ぼくは今日、ロスアンゼルスで買った記念の財布のなかから、あのとき大洋丸で、

あなたと、船客でロスアンゼルス行の第二世のお嬢さんだけ。

学校の先生から頼たのまれた、ロスアンゼルスにいる先生の親戚への贈物、

ロスアンゼルスへの外港、サンピイドロの海は、巨艦サラトガ、ミシシッピイ等の

そのときのぼく等の様子を、当時のロスアンゼルス新報が、こんなに報告しています。

その間、ロスアンゼルスのブロオドウェイを、或いは、ロングビイチの下町を、

夜、ロスアンゼルスからの帰りに、自動車を停めさせ、皆が一斉に降りたって、

その後、ロスアンゼルス動物園へ、選手一同赴いた折にも、巨きな象の二三頭が、

または自分達同士でロスアンゼルスに遊びに行ったりしては、

ぼく達たちは、ロングビイチの近くにある、フォオド工場の提供してくれた、

Ｖ８の新車八台に分乗して、工場の見学後、ロングビイチの合宿に着きました。

ある国の選手達は、ロングビイチの海水浴場に入りびたり、

米国代表南加大学（金色熊ゴオルデンベア）クルウが、ロングビイチに姿を現わしたのは、

≪夕刻のロングビイチは鉛色のヘイズに覆われ、競艇コオスは夏に似ぬ冷気に襲おそわれ、

或いは、ロングビイチの下町を、又はマウントロオの養狐場を、

セダンに乗りこむと、彼は、ロングビイチの海岸まで車を走らせて行きました。