本郷 鎌倉 伊豆 東京 浅草 新橋 新宿 銀座 池袋

、ひとり多分、社長から貰ったに違いない一升瓶を抱え、本郷から自動車をとばし銀座に出た。彼女の勤め先は、西銀座の「うらら」

、私は浅草でも、新橋でも、横須賀でも、鎌倉でも、ところかまわず、酒と催眠剤を飲み歩いていたが、絶えず

私も少年時、鎌倉の農村に育ち、桂子のような少女たちに、しきりに好奇心と淡い恋情を

に、何度、逃げようと思ったかしれない。また事実、伊豆のＭ海岸に疎開のままになっている妻子のもとに、度々戻ったこと

ので、また催眠剤を飲んで彼女と喧嘩の末、伊豆の妻子のもとに逃帰った。だが、催眠剤は勿論、沼津からも

なろうと思い、そのことを妻子に宣言して、再び、東京の桂子のもとに帰った。

すると妻は子供たちを連れ、すぐ東京の実家に泣きこみにいった。そこで親戚会議のようなものが始まる

催眠剤と酒の数日間が続く。眠ったのは、浅草のいまは廃業しているお好み焼屋とか、親しい編集者や作家の

浅草のある社交喫茶に桂子に似ている女給がいたので、彼女を

始末。そうした夜昼なしの放浪の間、私は浅草でも、新橋でも、横須賀でも、鎌倉でも、ところかまわず、

な女にみえた。私は数日前の放浪時代、浅草のレビューの女優さんたちとものを食べ、酒を飲んだこともあった

た夜昼なしの放浪の間、私は浅草でも、新橋でも、横須賀でも、鎌倉でも、ところかまわず、酒と催眠剤

社の編集者で、男がふたりで、女は桂子ひとり。新橋の近くの待合で一夜を飲み明かし、指一本も触れさせなかった、と

それで、ある日、思いあまって、私は新宿のいわゆる愛の古巣に戻っていった。午後三時頃、台所から、

遅くなって面倒なのとで、私はリリーとハイヤーで新宿まで帰ることにした。

銀座から新宿までの車代が一千円。車は外国団体の所有のものらしい高級車で、

私のチップの払い方が少ないなぞ文句を言いだす。そして新宿の家についても、桂子に対して、「あなたの旦那を送って

いるところに、私が入っていって、みんなに謝まり、新宿まで電車で帰る。

私は台所の姉に薬を貰いにゆき、その時、新宿の桂子を見舞にゆきたいと言いだした。姉はそれを止めはし

幾らかでも酔っている彼女を、そんな夜、ひとりで新宿まで帰すことが不安になった。

言い張る。私はそんな風に酔った桂子が、深夜おそく、新宿のマーケット街を放浪する光景を想像すると慄然となる。酔うとバカに

もイヤだと言い、髪の毛をひきむしり、顔を打つ。そして新宿に帰るというが、もう終電車もなく、そんな桂子を表に出す気持に

の底に落ちてゆく光景を知りながら、彼女とともに新宿の家に帰る。

から自動車をとばし銀座に出た。彼女の勤め先は、西銀座の「うらら」という店である。

から貰ったに違いない一升瓶を抱え、本郷から自動車をとばし銀座に出た。彼女の勤め先は、西銀座の「うらら」という店で

銀座から新宿までの車代が一千円。車は外国団体の所有のものらしい高級車

勤め、みんなにも挨拶したいというので、私は銀座界隈、顔見知りの編集者に厚かましくタカって、十時半頃になってから、

度、外泊したというのは一度の誤り、それも銀座から帰る途中、リリーとふたりで輪タクの運転手と喧嘩し、Ｋ町の交番

同棲中、私は彼女から逃げようと思い、彼女のため、池袋にマーケットを買ってやったことがある。そのマーケットを月三千円で、

恩を着せ、またチップのことをゴタゴタ言い出し、おまけに池袋のマーケットの家賃が高いなぞと言い始める。酔っている時の桂子は、