嵯峨野 大阪 軽井沢 三宮 京都 巴里 奈良 東京

ました。父と私は、新緑の奈良や、紅葉の嵯峨野をよく散策しました。古寺を尋ね、その静かなふんいきの中で色を

行くんですから、その代り、一週間はかかるでしょうし、大阪へ行く電車賃やなんやかやいれたらわずかのちがいですけどね」

「父様がおわるいのよ、でね、大阪の野中先生を呼んで来てほしいんですって」

背中をさすっておりました。父の友人の野中さんは大阪で大きな病院を経営しておられる方でした。私はすぐにその方を

の話をよく私はきかされました。馬に乗って軽井沢をかけまわったこと、大勢の男友達とスキーに行ったり、ヨットにのったりした

ている心やすい堀川さんの店へ行って、よくあたるという三宮の八卦へ行って、家へかえったら丁度、東さんが来る頃だろう。と

た。戦争の始まるもっと前、父は私を連れて、京都の古物屋へよく行きました。そして、茶碗や、壺、鉄びんなどを

てから明日の予定をたてました。お天気がよかったら京都へあそびに行こうと決心しました。紅葉が丁度よい頃です。ぶらぶら人

とね、まだ結婚して間なし、こうやって、奈良や京都をあそんだ事があるんだよ。母様は、つまらなくて仕方がない

の手を握って喜びました。二十年もの昔、巴里で仏蘭西人とブリッジをしたことがあると叔母はよく云いました。

の思い出をたぐりはじめました。父と私は、新緑の奈良や、紅葉の嵯峨野をよく散策しました。古寺を尋ね、その静かな

「母様とね、まだ結婚して間なし、こうやって、奈良や京都をあそんだ事があるんだよ。母様は、つまらなくて仕方

ようにして戻って来ました。母はうすぐらいところで東京の叔母のところへ手紙をかいておりました。肩越しにのぞくと、私

しても父には不満があったわけなのでしょう。東京で比較的自由な娘時代を送った母にとって、父の趣味は理解