幾度目かの最期 / 久坂葉子
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熊野の小母さんへ。
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に、私は、アルベニスをひきました。つい先達日、大阪の笹屋で、楽譜をもとめたばかりなので、練習不足だし、弾きなれ
、大事な仕事が山積のようにあるのにかかわらず、大阪へ行ったのです。よく行く喫茶店へゆきました。彼が居そうな気
てはゆけない気持のことを。あの日、あれから、大阪へゆきました。鉄路のほとりに会うために、彼に電話をしました
前々から約束していたので、作曲家の彼に、大阪からの終電車の中で翌朝、坊やと約束をはたそうと云ったのです。
鉄路のほとりに電報を打ちました。明日午後三時に大阪のいつもよくゆく喫茶店で会いたいと。私は、とにかく、もう一度どうして
にでも彼の許へ行かないのでしょう。私は、大阪へゆきました。そして、富士氏に会いました。だが、鉄路のほとり
、クリスマスイーヴ。富士氏と、青白き大佐と私は、大阪で少しのみました。そして、青白き大佐と共に帰神したのです。
しました。さて、その日、朝電話がないので大阪へゆこうと思いましたが、兄が、朝家を出る時、もうかえらない、
をおおせつかっていたのです。仕方ありません。私は大阪行を断念していました。そうだ。その夜が、研究所の忘年会だっ
。二十七日。私は、鉄路のほとりに会うため、大阪へゆきました。青白き大佐から、電話があり、大阪へ一しょに行った
大阪へゆきました。青白き大佐から、電話があり、大阪へ一しょに行ったのです。もう、彼と一しょにいるのが嫌で嫌
は故意に眠ったふりをしていました。そして、大阪のとある喫茶店から、鉄路のほとりの行ってそうなところへ電話をしました
の方がはるか重大だったのです。自動車にのって、大阪まで結局もどることになったのですが、その車中で、こんな気持のまま帰れ
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。今日は十二月二十八日。御宅へ御邪魔して、神戸へ戻り、メコちゃんという、屋台の焼とり屋で、一本コップ酒
た翌日だったか、その日か、彼は夜おそく、神戸へ来ました。そして、過去愛してたというのか、今なおか
いつまでも黙ってました。私に会い度くて、神戸まで来たことを私はきいていたんです。――まあいい、
へ行った私は、演出する人から、鉄路のほとりが神戸へ来ていることを知りました。一刻も早く会いたい。そして一刻も
私は神戸へもどりました。着物を着替えに家へ帰り、さて、今夜徹夜の舞台
私と青白き大佐と作曲家は、鉄路のほとりをひきとめ、神戸へ行こうとさそいましたが、遂に彼は、ちがうプラットの方へあがって
無性に腹がたってなりません。そして、いそぎ足で、神戸新聞社へゆき、八百円をうけとり、少し雑談などして、次に、郵便局
待ったりして、その滞在費がいるわけです。私は、神戸新聞に、原稿料をもらっていないことに気附きました。で、いつも
。その日だって、さっさと帰ればいいものを、電車を神戸で降りると、もういやあな気持になる。十二時半までものんでいまし
ませんでした。私は、鉄路のほとりと別れて、神戸へむかいました。そして知合いに出あい、彼にさそわれて、焼鳥屋へ
は鉛筆ではしり書きしました。二十四日の日は神戸へかえって一人でのみあるき、そうも書いたのです。それは行為とし
した行為を、冷淡に自分でみとめながら。でも、神戸へ帰って、すぐに家へ電話しました。鉄路のほとりからの連絡
、電話なんかしなかったんだと云いました。唯、神戸へ行き度くて行ったんだ。そしてのみ歩いたんだと云って
「俺が神戸で会った女の中で、お前は一番げのげのげだ」
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人のことが、心の大部分を占めはじめたのです。京都での夜、抱擁と、接吻をうけて、私は、とても嬉しかったの
しまうようになっちまった。小母さん、私はその夜、京都へ行って、別の人の、愛撫をうけたんです。彼のこと
、そのために苦しんでいることも知っているんです。京都での一夜の時も、大佐は傍に居ました。だけど私は
に愛しているなら、二回目の公演が終れば、京都へ行くがいい。そして、もう仕事も何もほったらいいんだ。私
。涙がこぼれそうでした。別のプラットへあがって、京都行の電車が出てゆくのをじっとみていました。若しや彼
を追ってプラットへあがりました。彼は、私に、京都へ来ないかと云いました。優しく彼は云ったのです。私は
百円札が二枚と十円札がわずか。今から京都へ行っても、市電はなし、かかとの高い靴をはき、シルクのいでたち
のほとりに会い度い気になったのです。私は京都へ行こうかと思いました。ところが、ハンドバッグの中には、百円
てしまいました。翌朝、二十六日、私はこちらから、京都へ電話しました。彼は出た後でした。もう電話がかかるか
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に対するより、もっと、歓びをみせ、兄の知らない、東京の赤門の話を、教授の話を、たのしみながら、喋っているのです
に切符を買う癖がついていたのです。東海道線で東京へゆくときも、山陽線で、西へ行く時も、先に切符を