浮浪 / 葛西善蔵

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地名一覧

神楽坂

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早稲田までぶら/\話しながら歩るくことにした。神楽坂で原稿紙やインキを買つた。

した。そして、彼が持つて来た金で二人で神楽坂の待合で遊んだ。その割前を厳しく彼から請求されたが、私は

早稲田

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を訪ねると丁度退ける時分だつたので、外へ出て早稲田までぶら/\話しながら歩るくことにした。神楽坂で原稿紙やインキ

建長寺

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遠い郷里から私につれられて来て建長寺内のS院の陰気な室で二人で暮すことになつてから三月程

鎌倉

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二月一日の午後であつた。鎌倉から汽車に乗り、新橋で下りて、銀座裏のある雑誌社で前の晩

でゐると、Fのことがしきりに思ひ出されて来る。鎌倉の方でも降つたゞらうが、寺から学校までは十五町程もある

「それではやつぱし、鎌倉へ来たのもたゞ遊びに来たのではなく、割前の貸しを請求

翌日は二月の十五日で、私が鎌倉を出てから丁度十五日経つてゐた。九時頃に起きて早速東京

「いや何しろ大失敗だつた。やつぱし鎌倉を出て来ない方がよかつたかな。それが、今度こそは屹度

富士登山

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やはり十四五年前富士登山の時、山を下りて腹を痛めて一週間ばかし滞在してゐたずつと

水戸

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飲んで、六時過ぎ頃の汽車で上野を発つた。水戸へ着いたのは十一時頃であつた。すぐ駅前の宿屋へ飛び込んだ

京都

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から来てるのださうで、出て来た若い番頭も京都弁で、

の若い女中に斯う云つて頼んだ。主人も奉公人もすべて京都から来てるのださうで、出て来た若い番頭も京都弁で、

膳が出て、酒を一二本ばかし飲んだところで、京都弁の若い女中に斯う云つて頼んだ。主人も奉公人もすべて京都から来

綺麗な女中で、それでも感心に遅くまで耳に柔かい京都弁で相手をしてお酌をした。兎に角明日は東京の本屋へ

飯田橋

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八枚と云ふ粗末な原稿を金に代へ、電車で飯田橋の運送店に勤めてゐる弟を訪ねると丁度退ける時分だつたので、

銀座

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であつた。鎌倉から汽車に乗り、新橋で下りて、銀座裏のある雑誌社で前の晩徹夜をして書きなぐつた八枚と

新橋

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二月一日の午後であつた。鎌倉から汽車に乗り、新橋で下りて、銀座裏のある雑誌社で前の晩徹夜をして書き

上野

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その翌日も夕方まで飲んで、六時過ぎ頃の汽車で上野を発つた。水戸へ着いたのは十一時頃であつた。すぐ駅前

東京

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。兎に角君からもう一度話して呉れよ。何だつたら明日東京の本屋へ手紙を出して交渉してもいゝから」

ないよ。後幾日のことでもなし、そんな訳なら東京へ手紙を出して金を拵へることにする……そんなこと出来る

やうなお客はご免だと云ふから、兎に角君はこれから東京へ帰つて金を拵へて来るか、金を送るかどつちかに

「そんなこと出来やしないよ。こんなことで東京へ帰られやしないぢやないか。だから斯んなことにして呉れ

「兄さんなんか相手にするもんか。それよりも東京へ帰つたらいゝだらう」

君のことなんかに構つてゐられないよ。兎に角早速東京へ帰るなり別の宿屋へ行くなりそれは勝手だが、すぐ金を拵

なぞ飲んで一時間ばかり休んで行つた。それから二度東京へ出た序でだと云つて訪ねて来て、半日位ゐ遊んで行つ

ずには帰れないやうな事情になつて居るので、東京の本屋に版権でも売つて金を取寄せることにしますから、二三日

訳なんだがね、決して怪しい者ではないから、東京へ手紙を出して返事の来る間二三日置いて貰ひたいと思ふんだ

弁で相手をしてお酌をした。兎に角明日は東京の本屋へ電話をかける決心をして、酒の力で睡つた。

丁度十五日経つてゐた。九時頃に起きて早速東京の弟のところへ二十円電報為替で送るやうに書いた電報を女中に

だね。そんな非常識な人間の相手は出来ないよ。なぜ東京へ帰らないんだ。愚図々々してゐてはもつとひどいことになるん

「わからないね。それに斯んな態で東京へも帰られはしないよ」

「それではその十円と汽車賃だけあると東京へ帰れるんだね?」

よこせ。あとはM屋の方は俺が引受けるから、すぐ東京へ帰るんだ。S閣の方を早く片附けて貰はないと俺が

たと思つた。私はこの金を宿に渡して、東京の本屋と交渉を始めようかとも思つて見た。この宿の人達

て門内には下駄の跡もないので、それでは東京へ引揚げてゐるのだらうと引返しかけたが念の為めに門前の百姓家

身装をした百姓の内儀さんらしい女に会つて、東京の人の別荘ならもつと先だと教へられ、今度こそはと松林の

「東京へ行つてゝお留守ですが、明日は帰る筈です」と云つた。

は、これも仕方がない、これで遺憾なく失敗して東京へ帰れるのだと思ふと、心が慰められる気がした。そして駈ける

真気らしくもあるので、私は少し怖くなりかけた。東京行きの汽車が間もなくやつて来た。汽車の音を聞きながら、

神田

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慢性の花柳病治療の為め上京して、私が案内して神田の方の某専門大家を訪ねて診察を受けたところ、彼の予算と