小石川 鎌倉 仙台 東京 上野

四月二日朝、おせいは小石川のある産科院で死児を分娩した。それに立合った時の感想はここ

した、その前後であるらしい。その前月おせいは一度鎌倉へつれ帰されたのだが、すぐまた逃げだしてき、その解決方に自分

だが、すぐまた逃げだしてき、その解決方に自分から鎌倉に出向いて行ったところ、酒を飲んでおせいの老父とちょっとした立

出かけて行った。十時を過ぎていた。自分も鎌倉から出てきて一年余りの下宿生活の間に、三四度も来た

自分はその前年の九月の震災まで、足かけ五年間、鎌倉の山の中の古寺の暗い一室で、病気、不幸、災難、孤独、貧乏

は、ほんとうに二三日前に決心したのだ。そして仙台にいる弟に電報を打ったのだ。

も医者もむろん反対なんだが、弟につれさせて仙台へやっちまう。それから自分は放浪の旅に出る。

仙台行きには、おせいもむろん反対だった。そのことでは「蠢くもの

「そんなことできやしないじゃないか。だから仙台へ行け……」

おせいの老父とちょっとした立廻りを演じ、それが東京や地方の新聞におおげさに書きたてられて一カ月と経っていない場合だっ

二三町離れたお湯へ入りに行った。新聞にも上野の彼岸桜がふくらみかけたといって、写真も出ていたが、