半蔵門 北海道 奥州 大阪 福島 青森 秋田 奈良 上野 東京 麹町 銀座

紹介状を持って、Ｍといってかなり有名な日本画家を半蔵門近くの宅に訪ねて行った。Ｓから電話で頼んでもあったので

せるつもりで買ってきて建てたんだが、それが北海道へ行ったもんで、ただうっちゃらかしてあるんでごいす。これでも人が

いかに何でも奥州下んだりから商売の資本を作るつもりで、これだけの代物を提げてき

れている。そこへ行くとＳ君の方は東京から大阪とか、奈良とか気の向き次第どこへでも勝手に引越しができるという

車掌に注意されて、彼は福島で下車した。朝の五時であった。それから晩の六時

。そして途中乞食をしながら、ほとんど二十日余りもかかって福島まで歩いてきたのだが、この先きは雪が積っていて歩け

、今朝の九時に上野を発ってくる奥羽線廻りの青森行を待合せて、退屈なばかな時間を過さねばならぬことになっ

「青森まで」と小僧は答えた。青森というのは耕吉の郷国だったので、彼もちょっと心ひかれて

「青森まで」と小僧は答えた。青森というのは耕吉の郷国だったの

翌朝彼は本線から私線の軽便鉄道に乗替えて、秋田のある鉱山町で商売をしている弟の惣治を訪ねた。そして四五日

「Ｓは今晩の汽車で、一家を挙げて、奈良へ転居するんだそうだ、それで取りこんでいるが夕方来てくれ、

そこへ行くとＳ君の方は東京から大阪とか、奈良とか気の向き次第どこへでも勝手に引越しができるというんだから

余裕もなかったのだ。で結局、今朝の九時に上野を発ってくる奥羽線廻りの青森行を待合せて、退屈なばかな時間

耕吉は昨夜の十一時上野発の列車へ乗りこんだのだ、が、奥羽線廻りはその前の九

上野へ朝着いて、耕吉はすぐ新進作家の芳本の下宿している旅館へ

帰る時、もし俺たちがてんでかまいつけないとしたら、東京へ引返して働くのは厭だと言うし、まあいったい妻子供をどうする

索るような眼をして言った。で耕吉はつい東京で空想していた最後の計画というのを話した。

得意になって、こういったような文句の手紙を、東京の友人たちへ出したりした。彼ら五人の親子は、五月

「がこれだってなかなか立派なもんじゃないか。東京の鑑定家なんていうものの言うことも迂濶に信用はできまいからね。田舎者

もいいが、纏った金にしようというには、やっぱし東京でないとだめらしい」

辺ではとてもこれだけの品物は捌けませんや。やっぱし東京に限りますなあ」

できる機会の来たことを悦んで、希望に満ち満ちて翌朝東京へ発った。

に限られている。そこへ行くとＳ君の方は東京から大阪とか、奈良とか気の向き次第どこへでも勝手に引越しが

て、耕吉は風呂敷包を右に左に持替えて、麹町の通りを四谷見附まで歩いた。秋晴の好天気で、街にはもう

銀座の方へ廻ると言って電車に乗った芳本と別れて、耕吉は風呂敷