日本婦道記 墨丸 / 山本周五郎
地名一覧
岡崎
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父の惣兵衛が、それから六年めの慶安四年に岡崎へ帰って来た。国老格で吟味役を兼ねることになったのである。
ため世継ぎとなった、二年まえ十五歳のときこの岡崎へも来て、かれらはみなめみえの杯を賜わった組である。
で小出小十郎という者が切腹して死んだ、あれは岡崎でもかなり評判になったから知っているだろう」
、まったく思いがけない処で思いがけない人とめぐり会った。……岡崎までもう三里という池鯉鮒の駅へ着いたとき、彼はその近くに名高い
萩
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した。そうしてたびたび歌を見せられるうち、或るとき萩を詠んだ一首があって、それに墨丸という名が記してある
牛田村
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だったと伝えられる草がくれの細径を辿ってゆくと、牛田村という処の松原はずれに苔むした標しの石が立っていた。その道しるべ
江戸
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れたのは正保三年の霜月のことであった。江戸から父の手紙を持って、二人の家士が伴って来た、平之丞は
水戸
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「うえもんのすけさまが水戸の御胤だということを聞いたが、おのおのは知らないか」
「その噂はなかなか真実らしいのだ、お上が水戸中将(光圀)さまに心酔していらっしゃることは知らぬ者はないだろう、