日記 12 一九二六年(大正十五年・昭和元年) / 宮本百合子
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やとい林町にかえる。丁度小林Yよりの電報をもって、小石川に行ったところの由、あしたの朝七時半東京着。辛い辛い一日で
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。助手に網野さんを紹介す。飯田橋でYと落合い、吾妻橋までゆきツーリングで百花園にゆく。四日の大暴風雨の後なので
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はちす、黄蜀葵、百日紅、水引、その他。前川で食事(吾妻まで汽船で。白髯の長い橋、川の上の舟のポツリと赤い、青い
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九州旅行に出立。
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場を見る。竹中氏と別れ、二人であちこち歩き、又五島軒にかえって食事。竹中氏も二人手下をつれて来て食事。四時まで
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して居るところへ三沢氏来、三人でやがて散歩。玉川へ行く。
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又外出。サダをつれてゆく。富士見町に家の広告を見たので、そのためもある。家はひどい家。
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でよいバラがとられる筈のところなくて貧弱な花。天現寺で降り、川の上の線路をわたるときこわくて這いたい程であった。
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からだ。小樽見るところもうなし。明日一人でもよい、札幌に行こうかと思う。
十一時の汽車にて札幌に来る。小樽より雪尠く、ゴム輪の車通ず。馬橇はやはり沢山あるが
雇人と暮される由、或感動を与えられた。樹木多き札幌の雪は、小樽より風情多し。バチェラー、夫人昔ながらのキャップをつけ、相
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苅田、宍戸、三沢。三沢、宍戸君泊る。
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私の六畳はなかなかあつし。鎌倉を思い出す。
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と外出。自分午後より俥橇にて小樽公園、水天宮、花園町附近に出る。スキー、思って居たほど見た目が愉快そうにもあらず、
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がかえるとき、二人で送って来てくれ、三人で柳川で食事をす。Yやがてかえって来、有馬さんたちのかえったのは十時半
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持てるかな持てるかなと云い、ついに一緒に出る。先ず四谷見つけで降り、山田さんのところへ行く。家を見る。二軒つづいた
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父上と午後一時の急行で北海道に立つ。同行、コントラクター竹中。
室内に居ると、陰気だ。天光がささないから。北海道の冬がわびしいのは、雪があるからではない。雪をふらすために
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長崎 福済寺
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もすぐ賛成してくれる。たった一人ぼっちになる故Yは、京都に行ってもよいと云う。
い、あきれたね、まあ」Y、一人になる故、京都に行こうかと秀雄にきいたら、十日すぎにゆく由で中止にし
Yより手紙と電報、Y到頭京都に来た由。
Yと仕事の話をし、京都並、祇園の生活をこれまでのどの人が描いたのとも違う書き
七時すぎ京都につく。
京都、夜着、十一時半。
京都
京都
京都。
京都座喜多村緑郎「婦系図」
京都立。
Y、京都へ一人立つ。兄の問題にて。
ねしなに去年は十五日に秀雄が来、十六日に京都にかえったねという。
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見ると、二十九日に小樽にゆく。一緒に行ってもよしという。これはよい、これはよい
父上小樽三井銀行支店建築の用向を帯びて。
九時すぎ小樽着。中山夫妻出迎。
父上朝より竹中氏と外出。自分午後より俥橇にて小樽公園、水天宮、花園町附近に出る。スキー、思って居たほど見た目が
をふらすために日光が人間の生活からうばわれるからだ。小樽見るところもうなし。明日一人でもよい、札幌に行こうかと思う。
、或感動を与えられた。樹木多き札幌の雪は、小樽より風情多し。バチェラー、夫人昔ながらのキャップをつけ、相変らず好人物。
十一時の汽車にて札幌に来る。小樽より雪尠く、ゴム輪の車通ず。馬橇はやはり沢山あるが。八重さん
十一時近くで小樽にかえる。八重、ステーションまで送って来てくれる。父上まちかね、
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午前六時すぎ青森着。
青森でも吹雪いて居たが、海上以北晴れる間もない吹雪。
で港に来、五時出帆、珍しく静かな海なり。青森で竹中氏と別る。彼越後の令嬢のところに廻る。
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紅丸にて神戸から午後四時立つ。
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鹿児島に立つ
鹿児島見物
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夜十一時立つ長崎に向って
長崎着。
長崎
長崎 福済寺
長崎、浦上、大浦
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東京を立ち、千ヶ滝の網野さんを訪ね、一緒に赤倉へゆこうということになった。
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の出た心祝のつもりなり。アミノさん、十月までに奈良に行く故、東京のなごりがおしそうに見えた。
アミノさん今日奈良に立つなり。
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臭剥など買いにゆく。かえって来てから少し気分よし。護国寺に火事があり。内田氏の家の先へ見に行ったら、やけて
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Y、さくや風呂タキのときこわした眼鏡なおさせに神田でおりる。却ってよく、元気になって居た。林町につくとすぐY
外出。苅田さんと一緒に渋谷までゆく。Yの歯医者。神田の会芳楼。寄席、渋谷の前でスシの立ち食い。
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、Y! Y! と思う。切な心持。K上野に迎に出て居る。母上の口上「きのう国府津から帰ってつかれ
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て、小石川に行ったところの由、あしたの朝七時半東京着。辛い辛い一日であった。こんなにもただ待つだけで一日
心持のすむようにするしかない。Y、彼女がたった一人東京で、あんなにして居てはやがて立つ瀬のなくなるのを考え、じっとし
英男、東京高等の入学試験を通った。父上よりハガキにて通知。大いによろこぶ。
東京を立ち、千ヶ滝の網野さんを訪ね、一緒に赤倉へゆこうということに
つもりなり。アミノさん、十月までに奈良に行く故、東京のなごりがおしそうに見えた。
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目黒によい家ありというので、見に出かける。行人坂下、迚も話に
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今日で歎きのピエロなくなるというので、Yと銀座シネマにゆく。ピエロよろし。筋は甘いが。サーカスをとるところ、鈴を
銀座を歩く。
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、アミノさんに会い、三人で又歩き、中井さんを有楽町まで送って尾張町からタクシーでかえる。
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新橋演舞場へ行って中井さん、アミノさんに会い、三人で又歩き、中井
をして、改造へゆき渡し、校正のことをきき、新橋でYと落合うのを待つ。五時半というのにY、六時に
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出かける。散歩かたがた。曇天。すっかり雨の用意をして。渋谷へ降りると小雨。足駄役に立つ。家、なかなか広く、庭もよく心持
かえりに渋谷でスシをたべて居たら、ケイオーの学生というの、中條さんでは
までゆく。Yの歯医者。神田の会芳楼。寄席、渋谷の前でスシの立ち食い。
寒い。二人で外出。苅田さんと一緒に渋谷までゆく。Yの歯医者。神田の会芳楼。寄席、渋谷の前で
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がいやでのめぬ。雨なり、又ツーリングをよんで、日本橋により、アミノさんのところまでかえって、一服。かえりに玉川電で雨。
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村へ行く。先生留守。助手に網野さんを紹介す。飯田橋でYと落合い、吾妻橋までゆきツーリングで百花園にゆく。四日の大
頃から、白山銀行、瓜生、三越、玉やによって飯田橋のハイシャへ三時半にゆく。
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腹工合わるし。ウドンを会でたべる由で、私一人九段下の例のスシやでたべる。この間Yと二人で行ったときには
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、山内さんと新潮社へ出かけるというので十時までに新宿へ。自分九時前におきる。サダとまり故。