半之助祝言 / 山本周五郎
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しかるに埴谷図書助は城の大手門からまっすぐに、大道路を城下外まで通じ、それを中心としてすべての
来たとすれば城下外一里半の地点から城の大手門まで見通しじゃないですか、しかも道幅十六間、敵は兵馬一体の大突撃が
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、三の丸のほうへと、ぶらぶら歩いていった。すると一条町(ということはあとでわかったのだが)の角のところで、その
られて埴谷邸へいった。驚いたことに、それは一条町の、彼が藩侯の別殿かと思ったあの壮大な邸宅であった。
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折岩半之助が江戸から着任した。
せるために、日常こういう食事をしておるですが、江戸などではどんなあんばいですかな」
彼が江戸から来た役目は、城代家老を辞任させることにあった。
して典型的な美男ですよ、私は二十六歳の今日まで江戸で育ち、ずいぶん大勢の人に会いました、評判の歌舞伎役者も見てい
「――こちらは江戸からいらしった折岩半之助さま、それからこれはむすめの笙子でございます」
「その、江戸でもよく聞いたんですが、お宅にはその、絶世の美人というくらい
失望と脅威に陥った。従来あらゆる手段を尽し、こんどは江戸からそのための特使さえ赴任して来たのに、結果は却って逆になっ
おまえたちの十五人や二十人、こう見えてもおれは江戸では」
「江戸ではおれの抜刀流はちょいとしたものなんだ」半之助はみんなを眺めまわし
たに違いありません、もうだめです、私はこれから江戸へ帰ります」
お願いがあるのですが、というのはです、……江戸へ帰るのにですね、その、あれです、お嬢さまを頂きたいんですが」
「なんだと、笙子を、江戸へ?……」
ございます、どうぞわたくしを、折岩さまとご一緒に、江戸へゆかせて下さいまし」
「――あいつは江戸から来て、さんざっぱらわれわれを愚弄して、おまけに笙子嬢までひっ掠って、
手をひらりと振ってみせた。かくて折岩半之助は、江戸へ帰任した。