さぶ / 山本周五郎

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地名一覧

箱根山

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「へえ、箱根山の向うですかね」

業平

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せがみ続けた。そうして麹町の家を出、本所の業平というところから、浅草の山谷、新鳥越、また本所へ戻って清水町と移り

明石町

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海がひろがっていた。大川口のほうは舟松町、十軒町、明石町などの町家が、広い川のかなたに平べったく並んでいた。――その北

八丁堀

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を濁してなかなか事実を語らない。やむを得ずさぶは八丁堀へいって、町廻りの役人に助力を願い出た。

小泉町

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「ええ小泉町」おのぶは栄二に酌をし、さぶに酌をした、「うちの話

芝浜

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が木更津周辺の漁船で、網を曳いて魚を捕りながら芝浜へ着き、芝浜で魚をおろすと、また魚を捕りながら房州へ帰る、と

漁船で、網を曳いて魚を捕りながら芝浜へ着き、芝浜で魚をおろすと、また魚を捕りながら房州へ帰る、ということは、

川崎

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「川崎の大師からまわったんだ」と云って栄二はさぶに振り向いた、「―

道成寺

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ずつ、手拭で念入りに拭いた、「――おととしと同じ道成寺、よく飽きねえもんだって、おどろきましたよ」

本所

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五十七歳になる。祖父の代までは微禄の御家人で、本所のほうの小屋敷に住んでいたらしい。父が家督をし、祖父が

ずにせがみ続けた。そうして麹町の家を出、本所の業平というところから、浅草の山谷、新鳥越、また本所へ戻って清水町

の業平というところから、浅草の山谷、新鳥越、また本所へ戻って清水町と移りあるいた。このあいだに十樫の病気がいちじ軽快

入谷

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ない、二丁目の通りを裏へぬけ、曲り曲りゆくと、入谷の田圃道へ出る。多くはもう刈田で、黒い土に切株の並んだの

江戸

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知れず、なかま内でなにか不義理なことをして、江戸にいられなくなったらしいの、うっかり帰って来れば、それこそ野詰めに

人間の屑だ、なかまに義理の悪いことをして、江戸から逃げたとおのぶは云ったが、じつは名を変えてこんなところにもぐり込ん

故郷を出奔し、土方や人足をしながら、二十二歳で江戸へ出た。ここでも土方か人足をするほかに知恵も能力もなく、

、「なかまに追われてたって聞いたが、あいつは江戸から逃げだしたんじゃあなく、この寄場へもぐり込んでいたんだ」

あるし、人口の増加と生活状態とで、ますますむずかしくなる江戸という大きな世帯では、これからもっと重要な役割を負うことになるだろう。

料理屋で、客座敷が十二。その襖をぜんぶ張り替えるため、江戸まで職人を捜しに来た。特に三つの座敷は絵襖なので、表具

と栄二はおすえの言葉を聞きながして云った。これが江戸ならたちまち名が売れるんだが、名なんかはまだどっちでもいい、独り立ちに

――だが断わっておくぜ、材料が揃ったらすぐに江戸を立つ、なにかのたしになるだろうからおすえも伴れてゆくつもりだ、

て伺いました」栄二は頭をあげて云った、「江戸ではなく、――田舎から頼まれた出仕事なんですが、これが

して島へ送られたんだから、――この広い江戸で、そんな人間のゆくえをつきとめるのは、人間わざじゃあねえと云ってもいい

伊勢

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、おやじは伊勢から出て来たと云ってたが、伊勢のどこだかおらあ覚えちゃあいねえし、覚えていたって頼ってゆけるもん

佐渡

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たいって、それを願うよりほかにないと思ってるの。佐渡のなんとかはこの世の地獄っていうけれど、あたしは生れてから今日までずっと

がここも石川島、きさまたちのやりようによっちゃあここも佐渡に劣らねえ地獄になる、そいつを忘れるなよ」

金杉

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うちへゆきましょう」とおすえが云った、「下谷の金杉で筆屋をやっているの、狭いけれど栄さんの寝るとこぐらいはあるわ

「本当に綿文から暇を取ったんなら、金杉にあるといううちへ帰っていてくれ」と栄二はおすえに云った

はこれから浅草へいって来てくれ、おすえちゃんは金杉へ帰るんだ、勝手なようで済まねえが、いまはおれを独りにし

金杉から坂本町まではひと跨ぎである。夕立のあとで、道は往来する人

来て、膳拵えや酒の支度を引受けていた。金杉の平蔵はこういうことは嫌いだそうで、三軒ほどある親類も呼ばず

さぶは金杉の家へ移り、朝八時に来て、夜なべがなければ、晩めしを喰べ

おすえが欠け、やがてさぶも晩めしを喰べなくなった。金杉の家でおせいが支度をして待っているから、というのであっ

、さぶちゃんのところにでもいってるかと思って、金杉までいってみたんです」

両国

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のほうへ、かくべつ目的もなくあるいていた。とにかく両国広小路へでもいってみようか、と思っているようであった。

におれが」と云いさしてさぶは口ごもった、「ほら、東両国から横網のほうまで、二人であるいてったことがあるじゃねえか、雨に濡れ

ことだから、酒を飲ませる店などはみつからなかった。両国広小路あたりの裏とか、河岸の水茶屋のあいだなどに、川人足や折助たち相

組」の火消しだったという。喧嘩が好きで、暇なときは両国広小路あたりをねじろに「喧嘩を拾って」あるいた。それで頭からきびしく

「ええ」とおのぶが囁くように答えた、「向う両国に常盤楼っていうお店があるでしょ」

下谷

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あたしのうちへゆきましょう」とおすえが云った、「下谷の金杉で筆屋をやっているの、狭いけれど栄さんの寝るとこぐらい

「じゃあ下谷金杉だな」

「下谷金杉のうちは、小さいけれどおやじさんが筆屋をやっていて、くらし

おすえちゃんのおやじさんだが、その人の紹介で、下谷おかち町の経師屋からも仕事をもらうことになった、主人は茂三郎と

――下谷坂本二丁目の家主源助とさぶがいっしょに来て、そのほうを引き取りたい

にあるというお屋敷へ帰り、栄二とさぶの二人だけ下谷へ向った。

下谷の家は、坂本二丁目の横丁にある二戸建てで、隣りには増

にも住んだことがある。はっきり覚えているのは、下谷の御成道の太助店という長屋にいたときのことで、おせい

深川

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島の外へ出仕事にいっていた十七人は、深川の海辺で埋立て工事をしていたのだというが、雨が続く

、深川の海っぺりは水につかるだろうって、――深川が水につかるならここはなおさらでしょ、町木戸やなにかがなければ、

、この風が潮のいっぱいになる刻までやまなければ、深川の海っぺりは水につかるだろうって、――深川が水につかるなら

めのおせいだけが丈夫に育った。生れたのは深川のどことかで、それから神田の柳原、いちじは日本橋にも住ん

日本橋

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古堂の娘で、としは今年十九歳、去年の春、日本橋檜物町の「さわ村」という櫛屋へ嫁にいった。芳兵衛夫妻に

ていった。あとでわかったのだが、その目明しは日本橋弓町の太田屋助二郎、子分は島造という者であった。

のどことかで、それから神田の柳原、いちじは日本橋にも住んだことがある。はっきり覚えているのは、下谷の御成道

した。綿文のあとで奉公にいった先も、日本橋通り二丁目の大きな商家で、やはり上女中をしていたというから、

から初めて聞いたことだ。世間が一般にひどい不景気で、日本橋の大きな問屋筋でも、倒産した店が少なくないという話だし

浅草

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五月に和助が芳古堂を出て、浅草の東仲町に「香和堂」という自分の店を持ち、十五歳になる

栄二は「すみよし」を出ると、浅草にある和助の店へ向った。和助は芳古堂の職人がしらをして

た、「ほかにどうしようもねえからな、それとも浅草の店へいこうか」

「二十一日だ」とさぶが云った、「おめえ浅草の店を十五日に出たっきりだっていうじゃねえか」

ゆき、栄二は店内から放逐すると約束した。それから浅草の和助を呼んで、東仲町の店にも置くな、と命じたという

「浅草の和助あにいはいろいろとりなしたんだ」とさぶは自分の失策のように

酒を呷ってから云った、「よかったらさぶはこれから浅草へいって来てくれ、おすえちゃんは金杉へ帰るんだ、勝手な

か、与力にもわかっていなかった。それでさぶは浅草の香和堂をたずねた。和助も初めはまるっきり相手にならなかったが、

くれなかった、事情も話さずに仕事から外し、黙って浅草の店へ追っ払おうとした」

彼は浅草へいって、和助から仔細を聞いたこと、それから酔って本町へゆき

彼は芳古堂の親方や、浅草の和助のことも考えてみた。そして、おととしの十二月の出来事その

て麹町の家を出、本所の業平というところから、浅草の山谷、新鳥越、また本所へ戻って清水町と移りあるいた。このあいだ

冬にはいった空はよく晴れていた。寺の多い浅草地内にかかると、それらの土塀や白壁が、日光をいっぱいにあび

伊勢崎

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の仕入れた反物にきず物が三反もありました、伊勢崎の安い紬縞で、一反は女物でしたが、染めむらと尺たらず

品川

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帆をあげた船が何十艘となく、房州のほうから品川のほうへと、群れをなしてすべっている。それらが木更津周辺の

御徒町

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な顔つきではなかった。ついでだからというので、御徒町の経師屋へまわり、主人の茂三郎に会った。五十がらみの貧相な男で

て帰った。夜なべをするほど仕事は多くなかったし、御徒町の経師屋にもあまり仕事はなかった。初めに俗っぽい大幅の表具を頼ま

上野

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右側が田圃で、その向うに上野の丘と森が見えた。田へ引く水だろう、細い流れにひと跨ぎ

麹町

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判断し、理由は云わずにせがみ続けた。そうして麹町の家を出、本所の業平というところから、浅草の山谷、新鳥越

くらした。本家の長沼は二百石あまりの小旗本で、麹町に屋敷があった。家族が多いので生活も苦しかったのだろう、十

ても、おやめなさいとは云わなかった。おせいは麹町を出てから、ゆくさきざきで子守や走り使いをし、ときには長屋の

ていたのに違いない。そうでないとしたら、麹町の本家で男の恐ろしさをいやというほど経験したのに、さぶ

神田

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た。生れたのは深川のどことかで、それから神田の柳原、いちじは日本橋にも住んだことがある。はっきり覚えている

両国橋

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小雨が靄のようにけぶる夕方、両国橋を西から東へ、さぶが泣きながら渡っていた。

二人は引返した。そして両国橋まで戻ると、うしろから十二、三になる少女が追って来て、せい

そのうるせえな、よ」と女はせきこんで云った、「両国橋のとこでさ、あんたあたしに云ったじゃない、うるせえなって」

て、葛西の田舎へ帰ろうとした、雨に濡れながら両国橋を渡ってると、栄ちゃんが追っかけて来たっけ」

そっとまた頭を振った、眼の裏に思いうかんだ雨の両国橋の情景を、かき消そうとするかのような動作であった。

京橋

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たりしていった。――医者は滝本直道といい、京橋采女町で開業してい、そこから毎日かよって来るそうであった。なぜ

江ノ島

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「相州の江ノ島」とおのぶが云った、「近くはなくってよ」

ばならない。とすると、それだけでもこの季節に江ノ島などへ出仕事にはやれない、もしもやるとすれば、材料をべつ

そういう話だった。さぬき屋は相州江ノ島にある料理屋で、客座敷が十二。その襖をぜんぶ張り替えるため、江戸まで

、あたし取次ぎなんかしなかったかもしれないわね、なにしろ江ノ島なんて箱根山の向うですものね」

「江ノ島って遠いんでしょ」

「江ノ島へはさぶちゃんもいっしょにいくんですか」

が」と栄二は包みを開いて金を出した、「江ノ島までの往き帰りを駕籠にするから、二枚はおれが持っていく、一両

「江ノ島だなんて、そんな遠いとこへいくのこわいわ、あたし」おすえは栄二の

」栄二はなにも眼につかないようすで云った、「江ノ島の仕事がきまったぜ」