伝通院 金杉 小田原町 小石川 長崎 日本橋 京橋

――小石川の伝通院裏になぎ町という処がある、そこに柏屋金兵衛という旅籠があって

おくには富三郎に云って、金杉のほうへ引越した。そこでともを産み、助三を産んだ。すると

定が云った、「町奉行へいって話してみるが、小田原町の長屋で引取ればよし、さもなければ住居のきまるまで、ここで面倒をみる

慇懃であった。去定は接待へとおるとすぐに、小田原町の五郎兵衛店からおくにという女が入牢している筈であるが、と

――小石川の伝通院裏になぎ町という処がある、そこに柏屋金兵衛という旅籠

認められた。――登はすぐに眼をそらした。長崎で修業ちゅう、女の患者を診察し治療した例は少なくないが、

は寝ころんだまま腕で顔を掩った、「それでも長崎で修業して来たなどといえるのか」

京橋の炭屋河岸に住んでいたが、六助の店が日本橋槇町にあったので、芝の神谷町裏へ移り、そこで小さな荒物屋

が、ともかく老人の話すのを聞いた。――老人は京橋小田原町五郎兵衛店という貸家の差配をしてい、名は松蔵、年

おくにはむろんそれを信じた。かれらは京橋の炭屋河岸に住んでいたが、六助の店が日本橋槇町にあっ