水前寺 天満宮 阿蘇山 敦賀 日田町 熊本

四月以来、恭一と大沢から、熊本城や、阿蘇山や、水前寺などの絵はがきを、何枚も受取っていた。書いてあったことはいずれも

次郎は、昨日天満宮のまえで味った気持をもう一度思いおこした。そして、それが先生の言って

次郎は、四月以来、恭一と大沢から、熊本城や、阿蘇山や、水前寺などの絵はがきを、何枚も受取っていた。書いてあったこと

した。彼は、何かの本で、宮本武蔵が敦賀の山中に伊藤一刀斉を訪ねて行った時のことを読んだことがあっ

やる。」とも言った。また、「そろそろ引きかえして、日田町に一晩泊り、そこから頼山陽を学んで筑水下りをやってみては

、白野老人のすすめに従って、それからは、まっすぐに日田町に下ることにした。

日田町までは一日がかりだった。町について田添ときくと、すぐわかった

次郎は、なぜか、亡くなった母と、日田町の田添夫人との顔を同時に思い浮かべながら、默ってお辞儀をした。そして

開店以来店に坐っていた番頭の肥田が、恭一が熊本にたつ間際に、売掛代金や何かをさらって、急に姿を消し