次郎物語 05 第五部 / 下村湖人

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地名一覧

東北地方

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行き、「関東地方の諸君はこちらに」とか、「東北地方の方は私どもがご案内します」とか、いったぐあいに、口々

青山

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青山の推薦者から塾堂に来た手紙によると、かれは二十三歳の若さ

朝倉先生は、青山の青年集会所のことが簡単に名簿の備考欄に書きこまれてあるのに目

が、先生の言ったことを十分理解したのは、青山のほかには大河無門だけではないかという気がした。

を運んで敏捷にたちはたらいていた。これに反して、青山の態度はきわめて冷静だった。かれは、田川の声には無頓着なように

四五名の中には田川や飯島がいた。大河や青山は、もうとうに踊りはじめていたのだった。

武蔵野

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、いよいよ第十回の入塾式だった。二月はじめの武蔵野の寒さはきびしかったが、空は青々と晴れており、地は霜どけ

であった。五時半起床というのが、二月の武蔵野では、ちょっとつらそうにも思えたが、それも青年たちにとっては

天気は快晴というほどではなかったが、この季節の武蔵野にしては、風も静かで、割合あたたかい日だった。準備は昨夜まで

ともかくも予定どおりの行事をすすめていった。季節はもう武蔵野名物の黒つむじが吹きあげるころで、朝夕の清掃にはとりわけ骨が折れたが

関東地方

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かたまって、興国塾生たちのほうに近づいて行き、「関東地方の諸君はこちらに」とか、「東北地方の方は私どもがご案内

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わずかな本のいずれにもあまり親しまないで、ほとんど「歎異抄」ばかりをくり返し読んでいるのである。

宮城

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「真相はまだはっきりしないがね。とにかく宮城のまわりを軍隊がとりまいていて、あの辺の交通が自由でないそうだ

かれの眼には、宮城をとりまいて所々に配備されている機関銃や、大砲や、歩哨や、また

赤坂

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叛軍の一部は今朝から赤坂の山王ホテルに宿営している。料亭幸楽も午前十時ごろ若い将校から多量

京都

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恭一さんは、大学はどちらになさるおつもり? 東京? 京都?」

静岡

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にも思っていませんでした。ところが、列車が静岡をすぎたころになって、それまで眼をつぶってばかりいて、ほとんど

青森

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の名産が送られて来たが、この時も、ちょうど青森のりんごが三箱ほど届いていたので、それもむろん食卓をかざっ

大久保

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手紙の返事が来ると、かれはすぐ上京して先生の大久保の仮寓に身をよせた。先生の上京からかれの上京までに二十日

東京

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場所は東京の郊外で、東上線の下赤塚駅から徒歩十分内外の、赤松と櫟の

気分になった。で、くわしい事情はうちあけないで、単に東京に出て勉強することになったという意味のことだけ書きおくったが、

「恭一さんは、大学はどちらになさるおつもり? 東京? 京都?」

「東京さ。」

「あたしも、東京に出て、もっと勉強したいわ。でも、うちで許してくれるかしら

、決してめずらしいことではなかった。入塾生の大部分は、東京の土をふむのがはじめてであり、それに一人旅が多い。募集要項

から夕食前まで自由外出ということになっていた。東京見物を一つの大きな楽しみにして上京して来た塾生たちは、

事務所にそなえつけてあった何枚かの東京地図は、すでに二三目前から各室で引っぱりだこだった。土曜日の晩には

ながくならんのでね。それに、第一、こんなに東京に近いところでは、民謡なんか、残っているはずがないよ。」

同じ東京に住むようになってからは、しばしば顔を合わす機会も得られたの

十分親しくしていたし、まさか君が汽車に乗って東京につくまでの間に、仲違いをするような原因が発生するとは思え

「東京からです。あなたに出てもらうようにいわれました。」

「東京は大変なことになったんだぜ。」

は、もう荒田老や平木中佐の顔がちらつき、二人と東京の異変とが無関係なものとは考えられなかったのである。

しかし、今はふしぎにそれに心をひかれなかった。東京の異変でゆすぶられたかれの血は、「歎異抄」とは別の

言うのではないのか。「念仏」だけでは、東京の事変はかたづかないのだ。――

「次郎さん、東京は、まあ、大変ですってねえ。」

「東京のさわぎ、もうこちらにもわかっているんですね。」

大多数の塾生たちの頭では、大河の読みあげた一節と東京の異変とが、すぐには、ぴんと結びついて来なかったらしいので

小関君は私に青年塾の話をしだして、現在東京付近にある青年塾で、最も特色があり、各方面の注目をひいている

間に感じた心の動揺であった。そして最後に、東京の異変がおとずれたが、この異変をめぐっての、かれ自身の態度と

きびしい試練にあわなければならなかった。しかも、その試練は東京の事変が塾内の空気を不安の絶頂にかりたてていた二月二十八

「東京には大変なさわぎが起こっているそうですが、朝倉先生をはじめ皆さん

池袋

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たよりに、東京駅や、上野駅や、新宿駅の雑踏をぬけ、池袋から私鉄にのりかえて、ここまでたどりつくのは、かれらにとって、なみ

銀座

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「たいていは二重橋を見て、それから銀座に行きたがっていたようでした。」

「二重橋のつぎが、銀座というのは、しかし、おもしろいじゃありませんか。」

軍人だって、正直なところは、たいていそんなものですよ。銀座みたいなところの魅力は、超時代的というか、本能的というか

「その意味で、銀座に行くのは、正直でいいじゃありませんか。少なくとも、うそを

「今夜は何だか銀座の匂いがするようだね。」

「銀座の匂いは、もう風呂で流してしまったんです。」

桜田門

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によく血なまぐさい事件が起こるものだね。四十七士の討ち入り、桜田門外の変、……しかし、今度の事件ほど暗い運命的な感じの

市川野戦砲第七連隊などの将兵の一部で、三宅坂・桜田門・虎の門・赤坂見附の線の内側を占拠し、陸軍省・陸相官邸・

赤坂見附

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連隊などの将兵の一部で、三宅坂・桜田門・虎の門・赤坂見附の線の内側を占拠し、陸軍省・陸相官邸・参謀本部などはもとより

永田町

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尊皇義軍」の精神を説くアジ演説をさえやった。また永田町首相官邸の付近には、青年団体や日蓮宗の信者などが押しかけて、ラッパ