一の酉 / 武田麟太郎

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地名一覧

大阪

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月始めから、新吉はてきやの連中と大阪へ旅立つたと聞いたのも彼からであつた、――おしげはまるでお

浅草

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ちやんと云ふ名が屡々男たちの唇に乗つた、一時は浅草での二三人ゐる評判娘のうちに数へられて、小さなおしげなぞ

にひがみが募つてひとの客を奪るなんて、そんなことまだ浅草ぢや聞かないよと喚くやうになつたのだ。

あれが若旦那のかみさんとあるひはおつね、ある場合は、なかなか浅草つ子ぢやないか、あの気持がうれしいなぞとおしげにと、客は心

た、彼の野心は、「たむら」を自分の店の浅草支店と改称させたかつたが、さすがそこまでは云ひ出せず、

よ、なぞとからかつた、彼らは恋仲で、同じ浅草公園のすしやの旦那であるが、他に有力な競争者があつた

品川

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をきいた、まアさう云ふなよ、お前の嫁入り仕度は品川でしてくれるつてんだからと兄の豊太郎がとりなし顔で云つた、

のことなんかどうだつてかまやしない、と放言して、品川と同じ品を納れるやうになつた、彼の野心は、「たむら」を

のは、さうした人気の問題だけではなかつた、品川のかなり当世風に華美にやつて盛つてゐる大料理店の娘であるお

日ぢやないの、――それにゆうべからお神さんが品川へ帰つてるんだもの」

なさい」と、障子を開いた、お神さんは今夜も品川から帰れぬと電話があつて、豊太郎が一人で、三味線や置きものをうしろ

東京

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とは、おしげにも想像できた、――そして今日は東京劇場へ連れて行くと云ふので、彼はきつと御伴させます