道灌山 大阪 浄閑寺 金杉 薩摩 吉原神社 田中町 筑波山 江戸 大音寺 長命寺 四谷 巴里 浅草 東京 上野 向島 小岩 日暮里 鶯谷 堀切 鐘ヶ淵 千住

さんやはじめさんなどと、鶯谷から上野の山を抜けて道灌山まで遊びに行ったことがある。かえりには日暮里から三河島を通って帰っ

のために図って義太夫を習わせた。十三、四の頃大阪へ修業に行き、初め五世野沢吉兵衛の手解きを受け、その後、後の摂津

受け、その後、後の摂津大掾の弟子になった。大阪へは祖父の姉で出戻りの身をそのまま家に寄食していた人

家では祖母と区別するために、この人のことを大阪おばあさんと呼んでいた。父は時々学生の帰省するように東京の

の帰省するように東京の家へ帰ってきては、また大阪へ出向いていたようである。その間に父は結婚して、私も

、私もいちど二つのときに父母に連れられて大阪へ行ったことがあるが、その後の下阪の際には東京の祖父母の許

に文楽を退いたが、その間三年というものは大阪に居着いて東京へは帰らなかった。祖父の愛が私に加わったのも

の手伝いのほかに、いつとはなく父のために、大阪おばあさんのしていた役廻りを引受けるようになった。毎日、新聞

しづさんでしたね。清ちゃんの子守さんは。一緒に大阪へも行ったんでしょ。」

こともある。私はこのしづやの背に負われて大阪へ行った。その頃の私はしづやという発音が出来ずに、「

間に合わせていたようである。もっともこの寺は三の輪の浄閑寺と同じく遊女の骨を埋めた処で、むかしから廓とは因縁浅からぬもの

師匠さんの家は揚屋町の番屋を抜けて刎橋を渡って金杉の方へ行く途中に在った。この人はごくさっぱりした男のような

ている私たちは、銅鑼がボーンと鳴ると、芝居好きが大薩摩をきくときのように胸をときめかしたものだ。巴里の子供が見世物のグラン

くる「宝剣泥坊」のようだと云ったことがある。吉原神社の祭礼のばか踊りに鬼瓦のような面をした愛嬌のある物腰のそんな

三社祭がすむとまもなく吉原神社の祭礼がある。当時の吉原は名物の花魁道中は既に廃止されてい

ある新世界という料理屋兼業の家か、たまには土手向うの田中町にあった吉影亭という貸席を借りて催した。巴会御連中では

晴れていたので、白鬚橋の上からは遠くに筑波山が見えた。私たちは川風に吹かれながら橋の欄干にもたれて、鐘ヶ淵の

なかった。昔は大門から一歩でも踏み出すことを「江戸へ行く」と云ったそうで、また仲の町を通行することが既に「

親しく呼び馴染んでいた。吉原の鳶職は四番組で、江戸の川柳に「浅草に過ぎたる物が二つあり、蛇の目の纏、加藤大留

八日の花まつりにはお糸さんと一緒に竜泉寺町の大音寺に甘茶をもらいに行った。甘茶をもらいに行くのは私の役目で、

家が、わざわざ浅草の観音さままで出向かずに、近間の大音寺で間に合わせていたようである。もっともこの寺は三の輪の浄閑寺と同じく

ぬものがあったからでもあろう。「たけくらべ」に「大音寺前と名は仏くさけれど」とあるのがそれである。甘茶をもらって

が、私のために心配して、烏帽子籠に入れた長命寺の桜餅を来会者に配った。※……足と橋場の明ちかき、

者でないとわからないのではないだろうか。五十にて四谷を見たり花の春。まさかそれほどではないにしても、出不精の

大薩摩をきくときのように胸をときめかしたものだ。巴里の子供が見世物のグラン・ギニョールに熱狂するようなものであろう。私は

私は浅草の新吉原で生れた。生家は廓のはずれの俗に水道尻という

にあったので、二階の窓から上野の山や浅草公園の十二階が見えた。おそらく晴天の日には遠く富士も見えた

な真似はしていられなかった。私の家では浅草方面へ出抜ける場合は、京町二丁目のはずれの黒助湯という風呂屋のある

私は浅草の千束町通りにあった千束小学校へ通った。その頃廓内から学校通い

料理屋の並びに在った。この通りを真直に行けばやがて浅草の十二階下に出るのである。学校の帰りには近道をするため

た。吉原の鳶職は四番組で、江戸の川柳に「浅草に過ぎたる物が二つあり、蛇の目の纏、加藤大留」とある、

いたからであろう。吉原ではたいていの家が、わざわざ浅草の観音さままで出向かずに、近間の大音寺で間に合わせていたよう

消息をもたらした。その話によると、当時助ちゃんは浅草公園のある色物席に臨時に出演しているということであったが

がきて、助ちゃんのことで新しい話題をもたらした。浅草公園のある演芸場に出ている「どじょう掬い」の女芸人に助ちゃんが

「うそよ。兄さんはきょう浅草へ活動を見に行ったわ。」

「なにがうそだい。おっ母さんが浅草へ行ってこいって云っても、ふくれて行かなかったじゃないか。」

がついてまもなくあの大震災があった。震災は私たち東京人の生活に一時期を画したが、私としても自分の少年の

たが、その間三年というものは大阪に居着いて東京へは帰らなかった。祖父の愛が私に加わったのも、また父

へ行ったことがあるが、その後の下阪の際には東京の祖父母の許に残った。父はそのときを最後に文楽を退いた

と呼んでいた。父は時々学生の帰省するように東京の家へ帰ってきては、また大阪へ出向いていたようである。

の入口のところにあったので、二階の窓から上野の山や浅草公園の十二階が見えた。おそらく晴天の日には遠く

吉原の桜は八重咲きが多く、上野や向島よりは遅れて咲いた。花の開く頃になると、馬力や

「上野の山へ行こうか？」

。私はまえに実さんやはじめさんなどと、鶯谷から上野の山を抜けて道灌山まで遊びに行ったことがある。かえりには

助ちゃんについてはこんな話がある。向島の小梅にいた頃、寒声を練るため、夜半物干台に出て

吉原の桜は八重咲きが多く、上野や向島よりは遅れて咲いた。花の開く頃になると、馬力や荷車に

「あ、そうだ、向島へ行こう。白鬚橋を渡って。」

その頃白鬚橋を渡るのには橋銭をとられた。向島側の橋の袂に関所のような小屋があって、そこで橋銭を

のね。あたしもお伴したかったわ。こんど清ちゃんに向島を案内していただくわ。お弁当をつくって行きましょうね。」

誂えてきてくれたものである。祖父は「おのぶと向島に道行をして、その後でお染を語るなんざあ、趣向が出来すぎ

段切の文句に因んだお土産で、お糸さんがわざわざ向島まで出向いて誂えてきてくれたものである。祖父は「おのぶと向島

をしているときであった。母のことでは、小岩にいた祖母の身寄りの許から荷車に山積みして送り届けられた漬菜を

て道灌山まで遊びに行ったことがある。かえりには日暮里から三河島を通って帰ってきた。

うなずいた。私はまえに実さんやはじめさんなどと、鶯谷から上野の山を抜けて道灌山まで遊びに行ったことがある。かえり

尽きる辺りまで行き、荒川放水路に架かった堀切橋を渡って堀切の方まで行った。日曜のことなので放水路の堤には三々五々

さきを墨田堤の尽きる辺りまで行き、荒川放水路に架かった堀切橋を渡って堀切の方まで行った。日曜のことなので放水路の

のぶちゃんを連れては寄る気にならなかった。私たちは鐘ヶ淵のさきを墨田堤の尽きる辺りまで行き、荒川放水路に架かった堀切橋を

。私たちは川風に吹かれながら橋の欄干にもたれて、鐘ヶ淵の方からきた蒸気船が小松島の発着所に着いてまた言問の方へ

夏泳ぎに行く水練場の在る処はこの少し上流で、千住の鉄橋の近くであった。その頃白鬚橋を渡るのには橋銭を