小石川 九州 神楽坂 盛岡 麹町

「今夜少し話があって、知り合いの女の人と、小石川のＰ神社のところに行ったのです。あすこは君、古い木が繁って

「小石川からここまでくるうちに、今にも殺されるかと幾度思ったか。」

小石川の荻原の下宿で夜を更かして、帰ってくるのを、荻原が送ると

「僕は九州で育ったもんですからね。寒い国のことはちっとも知りませんが、お

風が吹いて通る。しかし、その位なことで賑やかな神楽坂の通りは、燈火一つ少くなりはしない。夕方帰りの人や、買物

「盛岡の方です。」

、おぞげをふるって、いやになったので、麹町の方に小さな一軒を借りることにして、引き移った。