大和路・信濃路 / 堀辰雄

大和路・信濃路のword cloud

地名一覧

春日山

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」だけの名をもった山をいろいろな文献の上から春日山の附近に求めながら、いまだにはっきり分からないでいるようであります。勿論、

三笠山

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ばみだした柿の木の間から、夕月がちらりと見えたり、三笠山の落ちついた姿が渋い色をして見えたりするのが、何んともいえ

生駒山

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秋篠の村はずれからは、生駒山が丁度いい工合に眺められた。

きょうははじめて生駒山を越えて、河内の国高安の里のあたりを歩いてみた。

正倉院

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たちは僧侶の案内で、東大寺の裏へ抜け道をし、正倉院がその奥にあるという、もの寂びた森のそばを過ぎて、畑など

倉敷

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なければならない用事がある上、こんどはどうしても倉敷の美術館にいってエル・グレコの「受胎告知」を見てきたいので、奈良

あすは朝はやく奈良を立って、一気に倉敷を目ざして往くつもりです。よほど決心をしてかからないことには、このまま

絵を見てきたことなども話した。――その倉敷という小さな町まで五時間もかかって往って、やっとそこの美術館にたどりつき、

「セガンティニは僕はあの倉敷の美術館にあるのしか知らないな。」

赤岳

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、真白な八つが岳――そのうちでも立派な赤岳と横岳とが並んで聳え立っていた。

だが、すぐ目のさきに赤岳だの横岳だのがけざやかに見えていながら、この泥濘の道ではどう

うえを択んで歩き歩き、ときどき片側の枯木林を透かしながら赤岳だの横岳だのをちかぢかと目に入れたり、もう一方の、まだかなり雪

斑鳩

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ような気分にもなれず、日の暮れるまで、ぼんやりと斑鳩の里をぶらついていた。

恭仁京

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次ぎの日――きのうは、恭仁京の址をたずねて、瓶原にいって一日じゅうぶらぶらしていました。

河内

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きょうははじめて生駒山を越えて、河内の国高安の里のあたりを歩いてみた。

となく寒ざむとした村で、西の方にはずっと河内の野が果てしなく拡がっている。

葛城

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あのなかに、いかにも神秘な姿をして浮かび上がっている葛城の二上山には、一種の憧れさえいだいて来たものだ。そうして

飛鳥

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寺などがあります。もう一つの「方」は、飛鳥の村々や山の辺の道のあたり、それから瓶原のふるさとなどで、そんな

でした。きょう僕がいろいろな考えのまにまに歩いてきた飛鳥の村々にしたって、この前君と同道していなかったら、きょうのよう

おもうような、なんでもない景色です。それから僕は飛鳥の村のほうへ行く道をとらずに、甘橿の丘の縁を縫いながら、川ぞい

久米寺

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です、そのときはまず畝傍山の松林の中を歩きまわり、久米寺に出、それから軽や五条野などの古びた村を過ぎ、小さな池(

玄室

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な顔つきをしてその中をのぞいていました。その玄室の奥ぶかくから漂ってくる一種の湿め湿めとした気とともに

三輪山

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が手にとるように見える。向うのこんもりした森が三輪山あたりらしい。菜の花がいちめんに咲いて、あちこちに立っている梨の木も花ざかり

の辺の道ぐらいということにしてしまいました。三輪山の麓をすこし歩きまわってから、柿本人麻呂の若いころ住んでいたといわ

志賀山

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に出ていって、これから自分のはいってゆこうとする志賀山の案内図をながめたり、小さな雪がちらちらとふっているなかを何んとなく

秋篠寺

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午後、秋篠寺にて

いま、秋篠寺という寺の、秋草のなかに寐そべって、これを書いている。

アルプス

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もそんな云いわけをした。「そういえば、あそこにもアルプスの絵かなんかあったね。あれはどんな絵だったかな?」

「たしか真昼の牧場の絵で、アルプスが遠く見え、前のほうに羊飼いの女の立っているような構図だった

の美しい生涯などを考えつづけていた。セガンティニには、アルプスの高原の自然のなかに――いわば人間の住める自然のぎりぎりの限界のようなところに人間

の世界から離れれば離れるほど、そしてそこに描かれてあるアルプスの風景がいよいよきびしければきびしいほどセガンティニの絵のもっている人なつこさはいよいよ

東大寺

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、僕も朝から仕事を打棄って、一しょに博物館や東大寺をみてまわった。

それから僕たちは僧侶の案内で、東大寺の裏へ抜け道をし、正倉院がその奥にあるという、もの寂びた

から奈良坂を越えて帰ってきた僕たちは、そのまま東大寺の裏手に出て、三月堂をおとずれたのち、さんざん歩き疲れた足をひきずり

五条

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に黄いろい粗壁の農家が数軒かたまっている。それが五条という床しい字名の残っている小さな部落だ。天平の頃には、恐らくここ

秋篠

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秋篠の村はずれからは、生駒山が丁度いい工合に眺められた。

大阪

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たら、廊下でばったり小説家のA君に出逢った。ゆうべ遅く大阪からこちらに著き、きょうは法隆寺へいって壁画の模写などを見てきた

聖林寺

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「方」には、まだ往ったことのない室生寺や聖林寺、それから浄瑠璃寺などがあります。もう一つの「方」は、飛鳥

法隆寺

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君に出逢った。ゆうべ遅く大阪からこちらに著き、きょうは法隆寺へいって壁画の模写などを見てきたが、あすはまた京都へ往く

十月二十三日、法隆寺に向う車窓で

すべての局面転換のため、最後のとっておきにしていた法隆寺へ往って、こないだホテルで一しょに話した画家のSさんに壁画の模写を

きのう、あれから法隆寺へいって、一時間ばかり壁画を模写している画家たちの仕事を見せて

こちらに僕も来ているとは知らずに、ひとりで法隆寺へやって来た由。――そこで子規の茶屋に立ちより、柿など食べ

戒壇院

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十月十九日、戒壇院の松林にて

のことなど考えながら歩いた、あの小さな林の奥にある戒壇院の中にもはじめてはいることができた。

横岳

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な八つが岳――そのうちでも立派な赤岳と横岳とが並んで聳え立っていた。

だが、すぐ目のさきに赤岳だの横岳だのがけざやかに見えていながら、この泥濘の道ではどうしようもない

で歩き歩き、ときどき片側の枯木林を透かしながら赤岳だの横岳だのをちかぢかと目に入れたり、もう一方の、まだかなり雪が残って

藤原京

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であるかも、その歌がおのずから彷彿せしめている。その藤原京のころには、京にちかい、この軽のあたりには寺もあり、森

アテネ

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一つの場面が僕の心をひいた。舞台は、アテネに近い、或る村はずれの森。苦しい流浪の旅をつづけてきた父と娘

室生寺

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一つの「方」には、まだ往ったことのない室生寺や聖林寺、それから浄瑠璃寺などがあります。もう一つの「方」

のない気もちにさえなり出した位ですから、勿論、めんどうくさい室生寺ゆきなどは断念しました。そうして十時ごろやっとホテルを出て、

唐招提寺

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夕方、唐招提寺にて

いま、唐招提寺の松林のなかで、これを書いている。けさ新薬師寺のあたりを歩きながら

に来ていて随分ばかばかしい事だと思いながら、裏手から唐招提寺の森のなかへはいっていった。

奈良

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一九四一年十月十日、奈良ホテルにて

くれがた奈良に著いた。僕のためにとっておいてくれたのは、かなり奥まっ

夕方、奈良への帰途

ひとりでに西大寺駅に出たので、もうこれまでと思い切って、奈良行の切符を買ったが、ふいと気がかわって郡山行の電車に

僕は、東の方、そこいら一帯の田圃ごしに、奈良の市のあたりにまだ日のあたっているのが、手にとるように

十月十八日、奈良ホテルにて

がふたりいた。ひとりはその壁画の模写にたずさわっている奈良在住の画家で、もうひとりは京都から同道の若き哲学者である。みんなと

、おまえも一しょにつれて来よう、どうもいまこうして奈良にいると、一日じゅう仕事に没頭しているのが何んだか

けさ奈良を立って、ちょっと京都にたちより、往きあたりばったりにはいった或る古本屋で、

てエル・グレコの「受胎告知」を見てきたいので、奈良には三四日しかいられないことになりました。まるでこの秋ホテルに

この秋はずっと奈良に滞在していましたが、どうも思うように仕事がはかどらず、

あすは朝はやく奈良を立って、一気に倉敷を目ざして往くつもりです。よほど決心をして

一九四一年十二月四日、奈良ホテルにて

「春の奈良へいって、馬酔木の花ざかりを見ようとおもって、途中、木曾路をまわっ

そのなかでも一番印象ぶかかったのは、奈良へ著いたすぐそのあくる朝、途中の山道に咲いていた蒲公英や薺

京都

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の模写にたずさわっている奈良在住の画家で、もうひとりは京都から同道の若き哲学者である。みんなと一しょに僕も、自分の仕事は

て壁画の模写などを見てきたが、あすはまた京都へ往くのだといっている。連れがふたりいた。ひとりはその壁画

けさ奈良を立って、ちょっと京都にたちより、往きあたりばったりにはいった或る古本屋で、リルケが「ぽるとがる

ように澄み切った空のいろを見ていると、すっかり京都に住みついている僕なんぞも、なんだかこう旅さきにいるような気が

主 京都もいまが一番いいんだ。この頃のように澄み切った空のいろを

福島

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その晩、その木曾福島の宿に泊って、明けがた目をさまして見ると、おもいがけない吹雪だった

東京

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僕のことだから、いっそこのまま出来かけの仕事をもって東京へ帰った方がいいのではないか、とまあそんな事も一とおり

引き上げよう。しかし、いかるがの宿に籠もるのではない。東京へ帰る。そうしておまえの傍で、心しずかにこの仕事に向い、

と再会する最後の場面――を考えてから、あすは東京に帰るつもりだ。

ように仕事がはかどらず、とうとうその仕事をかたづけるためにしばらく東京に舞いもどっていました。それからすぐまたこちらに来るつもりでいました

星空だった。そうしてその星のひとつひとつが東京なんぞの空で見えるよりかずっと大きく見えた。

とおもえば本当に具合よくいっている。第一、きのう東京を立ってきたときからして、かなり強い吹きぶりだった。だが

小諸

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翌日。僕たちは朝はやく小諸まで往き、そこから八つが岳の裾野を斜に横切るガソリン・カアに

千曲川

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南佐久の村々の間をはじめの一時間ばかりは何事もなく千曲川に沿ってゆくだけだが、そのうち川辺の風景が少しずつ変ってき

最後の村を過ぎてからも、ガソリン・カアはなおも千曲川にどこまでも沿ってゆくように走りつづけていたが、急に大きな

ともお別れだ。そうして急に谷川らしくなりだした千曲川の流れのまん中に、いくつとなく大きな石がころがっているのばかり目に