三条 太秦 伊勢

十三の秋だった。京には、昔気質の母が、三条の宮の西にある、父の古い屋形に、五年の間、ひとりで

新しい普請の出来上った三条の屋形では、古い池と共に焼け残った藤が、今年はどういうものか

晩秋の一日、女は珍らしく思い立って、太秦へ父の無事を祈りに、ひとりで女車に乗って出掛けた。一条へさしかかる

はそれを気にするように、すこし車を早めながら、太秦まで往き著いて寺にはいってしまうと、いつかもうその男車は見えなくなっ

ました。それは私が斎宮の御裳著の勅使で伊勢へ下った折の事です。伊勢に下っておる間、殆ど毎日、雪に

御裳著の勅使で伊勢へ下った折の事です。伊勢に下っておる間、殆ど毎日、雪に降りこめられておりました。ようやく任