ローマ 高崎 赤城山 赤城 名古屋 下関 神戸 奈良 東京

霊魂は、カルタゴのごとく、城と共に自らを焼いてローマの一土に埋れ去るのか、あるいは放浪のユダヤ人と化して、故山を後

高崎に向かう汽車の窓で、居睡りして、こんな夢を見た。

赤城山にて

一九四六・十・一　　赤城山にて

この不安が始めて起こったのは二週間前に独りで赤城に登った折りのこと。

名古屋で玲子が教えてくれた讃美歌。

僕が「夢」を憎悪し始めた端初。下関の林の家で。

けれども、神戸の埠頭を汽船の上から望んだ時、彼は憤りに駆られて叫ん

賢明な奈良の大仏はすわっていた。愚かな明治の帝は、他人の足で

僕は東京から一歩も出なかった。あの「観察」を唯一の文学の糧だ