丸の内 浅草 東京

嘗て、わたしは、丸の内の、高い建物と建物との間のおでんやの屋台のまへで、ほとゝぎすを

広小路。……二十年まへの、わたしの育つたころの浅草の広小路。……どこのうちでもまだ瓦斯をつけてゐたそのころ

白くその一日はしづんだ。……といふものが浅草の広小路。……二十年まへの、わたしの育つたころの浅草の広小路

の運の、星をやどした夕ぞらを仰ぐにつけ、浅草に蝙蝠がとばなくなつてもう何年になるだらう？……いつもわたし

、とむかしのそこのすさまじいけしきをそのまゝ、いまでも浅草の夜店は食物やで埋つてゐる。そしていまは、その鮨や、天麩羅

東京の、疲れ果てた東京の、見得も外聞もふり捨てた東京の、うそもかくしもないそのすがたをさういつても寂しく語るものである

た喰物やこそ、休息した東京の、疲れ果てた東京の、見得も外聞もふり捨てた東京の、うそもかくしもないそのすがたを

夜あかしの、さうした喰物やこそ、休息した東京の、疲れ果てた東京の、見得も外聞もふり捨てた東京の、うそも