高崎 東京 上野 大宮

の曇った午後、わたしはぼんやり一人で上野を立った。高崎で乗りかえて、五時ごろ、磯部へ着いた。

その間で、ふっと、東京にいるのがいやになった。――どこかへ行くことだ。―

一つ浮いた灯火の、しずかな、無心ないろが悩ましい東京のほうへわたしを誘った。

わけもなくわめき合っていた。――言葉から推して東京でないことは直ぐに分った。

ないふりにしげしげみまもった――昨日わかれて来た「東京」の匂がそれほどもうわたしにめずらしかった。

。――その日の夕方、わたしは、そこを立って東京へかえった。

て四月の末の曇った午後、わたしはぼんやり一人で上野を立った。高崎で乗りかえて、五時ごろ、磯部へ着いた。

原稿用紙を入れたままの籠を下げて、その晩上野の停車場の改札口を出たとき、そのあたりの射るようにあかるい灯火の

た。――それも直接に聞いたのではなく、大宮から乗って来た二人づれの老人の、そのあたりのことを互にいろいろ