下河原 鎌倉 東京 新橋 銀座

にでゝゐて、七八日ぶりで鎌倉に帰ると、下河原の雅楽多堂といふ、文字どほりのガラクタばかり並べた古道具屋が、いつ

下河原には、もう一けん、同じやうな店がある。雅楽多堂よりはあたらしく

東京にでゝゐて、七八日ぶりで鎌倉に帰ると、下河原の雅楽多堂といふ、文字どほりのガラクタばかり並べた

堂よりはあたらしくできた……といふことは、ぼくが鎌倉に住むやうになつてからできた店だが、雅楽多堂とはちがつて

――鎌倉ッてところ、こんなにも寂しいところだつたのか？

寝に帰るばかりのわが家けふの月、にしちやァ、鎌倉ッてところは、何んとしても東京から遠すぎます。

けんもありません。……何も、これはしかし、鎌倉にかぎつたことではなく、そのころは、銀座でもさうでしたが

――鎌倉にはクロンボのわるい奴が出没しましてね。……だから、ぼくは

――だから、鎌倉でも、たッた一人、靴みがきがでゝゐたゞけの若宮大路に

鎌倉に着くと、いつふりだしたのか、雨がビショ／＼ふつてゐた

東京にでゝゐて、七八日ぶりで鎌倉に帰ると、下河原の雅楽多

――今日、東京のお宿をおたづねしましたら、こちらだといふことで……

と、たま／＼東京から来た客はいつた。

しちやァ、鎌倉ッてところは、何んとしても東京から遠すぎます。

、いつになつても、何年たつても、鎌倉、東京間の距離はちッとも短縮されません。……短縮されるどころか

――東京から帰つて、停車場に下りても自動車はおろか、リンタクさへなかつたんです

四五日、また、東京の宿屋ですごして、ある晩、終電車よりずッと早い、九時十五分と

、九時まへの電車に乗つて、十時までに新橋に下りたりする諸君のことを思つたら、ぜいたくはいへません。……

――わたくしも、一度、新橋演舞場のところの橋の上で、三人づれのアメリカの酔ッぱらひに追ッ

、鎌倉にかぎつたことではなく、そのころは、銀座でもさうでしたが……