ヰタ・セクスアリス / 森鴎外

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地名一覧

愛宕

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「あんたあゆうべ愛宕の山へ行きんさったろうがの」

番町

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或る大名華族の末家の令嬢を貰えと勧めた。令嬢は番町の一条という画家の内におられる。いつでも見せて遣るということ

たか、まだ寒かった。僕は安中に連れられて、番町の一条の内へ行った。黒い冠木門のある陰気なような家であった

神田小川町

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向島からは遠くて通われないというので、その頃神田小川町に住まっておられた、お父様の先輩の東先生という方の内に置いて

江戸

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埴生庄之助という生徒とが一番年が若かった。埴生は江戸の目医者の子である。色が白い。目がぱっちりしていて、唇

ある。埴生は金井より二つ位年上であろう。それが江戸の町に育ったものだから、都会の悪影響を受けている。近頃ひとりで

樺太

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置いて、跡から書くので譬喩が anachronism になるが、樺太を両分したようにして、二人は寝る。さて一寐入して目

鰐口

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いうので、駈競をして遊んで帰って見ると、鰐口の処へ、同級の生徒が二三人寄って相談をしている。間食の

横浜

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。お麗さんは望どおりに或る学士の奥さんになって横浜あたりにいるということである。

八月二十四日に横浜で舟に乗った。とうとう妻を持たずに出立したのである。

根岸

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で、朴歯の下駄をがらつかせて出る。上野の山から根岸を抜けて、通新町を右へ折れる。お歯黒溝の側を大門に廻る

奥山

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ば話の中に出て来るのは吉原という地名と奥山という地名とである。吉原は彼等の常に夢みている天国である

大阪

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そこから役所へ通っている。児島はそれより前に、大阪の或会社の事務員になって、東京を立った。それを送りに新橋へ

根津

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の足はどこへ向くか。芝、浅草の楊弓店、根津、吉原、品川などの悪所である。不断紺足袋で外出しても、軟派

「今日は根津へ探検に行くのだが、一しょに行くかい」

それから古賀が歩きながら探険の目的を話した。安達が根津の八幡楼という内のお職と大変な関係になった。女が立て引い

両国

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こんな風に古賀は面白い小僧だを連発する。柳原を両国の方へ歩いているうちに、古賀は蒲焼の行灯の出ている家の前で足を留めた

奈良

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にはなりにくい。譬えば Rhodos の kolossos や奈良の大仏が人体の形の研究には適せないようなものである。おれ

鹿児島

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写本があって、それを引張り合って読むのである。鹿児島の塾なんぞでは、これが毎年元旦に第一に読む本になって

人を中心としている。その頃の予備門には鹿児島の人は少いので、九州人というのは佐賀と熊本との人

熊本

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の人は少いので、九州人というのは佐賀と熊本との人であった。これに山口の人の一部が加わる。その外

佐賀

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は鹿児島の人は少いので、九州人というのは佐賀と熊本との人であった。これに山口の人の一部が加わる。

下谷

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がある。それが琴の稽古をしている。師匠は下谷の杉勢というのであるが、遠方の事だから、いつも代稽古

後に聞けば、小幾は下谷第一の美人であったそうだ。そして児島は只この美人の※げ

に引き合せた。この人は某元老の壻さんである。下谷の大茂という待合で遊ばれる。心安くなるには、やはりその待合へも

か。寒い晩であった。いつもの通三人で、下谷芸者の若くて綺麗なのを集めて、下らない事をしゃべっている。

東京

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お父様は殿様と御一しょに東京に出ていらっしゃる。お母様が、湛ももう大分大きくなったから、学校に

お父様が東京からお帰になった。僕は藩の学問所の址に出来た学校に

余所の人に言うなと仰ゃる。お父様は、若し東京へでも行くようになると、余計な物は持って行かれないから

内を東京へ引き越すようになるかも知れないという話がおりおりある。そんな話の

かと思って、お母様に問うて見た。お母様は、東京へは皆行きたがっているから、人に言うのは好くないと仰ゃ

お父様が東京へ連れて出て下すった。お母様は跡に残ってお出なすった。

、僕の注意を引いた。そして※麻は何故これ程東京詞が使えるのに、お屋敷では国詞を使うだろうかということ

た。しかしその問答の意味よりは、※麻の自在に東京詞を使うのが、僕の注意を引いた。そして※麻は何故これ

て云々というのである。僕の耳には、まだ東京の詞は慣れていないのに、話家はぺらぺらしゃべる。僕は後

は吉原入門ともいうべき講義である。僕は、なる程東京という処は何の知識を攫得するにも便利な土地だ、と感歎

というので、お父様にねだったとの為めである。東京へ出てから少しの間独逸語を遣ったのを無駄骨を折ったよう

の初に、今まで学んでいた独逸語を廃めて、東京英語学校にはいった。これは文部省の学制が代ったのと、僕が

その頃好い友達が出来た。それは和泉橋の東京医学校の預科に這入っている尾藤裔一という同年位の少年であっ

色の白い、撫肩の、背の高い男で、純然たる東京詞を遣うのである。

は東京へ出たばかりだそうだが、これも純然たる東京詞である。

鬢を両手でいじりながら、僕に声を掛ける。奥さんは東京へ出たばかりだそうだが、これも純然たる東京詞である。

それより前に、大阪の或会社の事務員になって、東京を立った。それを送りに新橋へ行ったとき、古賀が僕に※

向島

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旧藩の殿様のお邸が向島にある。お父様はそこのお長屋のあいているのにはいって、婆あ

。それから猿若町を通って、橋場の渡を渡って、向島のお邸に帰った。

向島からは遠くて通われないというので、その頃神田小川町に住まっておら

その頃僕は土曜日ごとに東先生の内から、向島のお父様の処へ泊りに行って、日曜日の夕方に帰るのであった

ば右へ逃げる。それでも心配なので、あるとき向島の内から、短刀を一本そっと持って来て、懐に隠してい

或る日曜日に僕は向島の内へ帰った。帰って見ると、お父様がいつもと違って烟たい

がって見ていたものと見える。この沼波の保証人が向島にいて、お父様の碁の友達であった。そこでお父様はこういう

同じ歳の夏休に向島に帰っていた。

と笑うのである。僕は分れて、今戸の渡を向島へ渡った。

同じ歳の夏休は、やはり去年どおりに、向島の親の家で暮らした。その頃はまだ、書生が暑中に温泉や

その頃向島に文淵先生という方がおられた。二町程の田圃を隔てて

のようなものが出来ていて、それに住めば、向島の家から家賃があがる。月給も少し好い。そこで意を決して小菅へ

より静かな処にいて勉強したいと思った。さいわい向島の家が借手がなくて明いている。そこへ書物を持って這入る。

或日お母様がお出なすった。僕は、もう向島は嫌になったから、小菅に帰ろうと思うと云った。お母様は、

浅草

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。今からお使に行くけえ、一しょに来んされえ。浅草の観音様に連れて行って上げう」

そしてその白足袋の足はどこへ向くか。芝、浅草の楊弓店、根津、吉原、品川などの悪所である。不断紺足袋で

から三渓のものが出るからというので、僕も浅草へ行って、花月新誌を買って来て読む。二人で詩を作っ

、安達はふらふらと八幡楼へ引き寄せられて行く。古賀は浅草にいる安達の親に denunciate した。安達と安達の母との

という評判を聞いた。又数年の後、古賀が浅草の奥山で、唐桟づくめの頬のこけた凄い顔の男に逢った。

程なく退学させられた。一年ばかり立ってから、浅草区に子守女や後家なぞに騒がれる美男の巡査がいるという評判を

銀座

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或る日銀林は銀座の方へ往くから、連れて行って遣ろうと云った。その日には

品川

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へ向くか。芝、浅草の楊弓店、根津、吉原、品川などの悪所である。不断紺足袋で外出しても、軟派は好く町

神田

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夏の初の気持の好い夕かたである。神田の通りを歩く。古本屋の前に来ると、僕は足を留めて覗く

は車を雇って、霽波の車に附いて行った。神田明神の側の料理屋に這入った。安斎は先へ来て待っていた

神田で嫌な酒を五六杯飲ませられたので、咽が乾く。土瓶

上野

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袴に紺足袋で、朴歯の下駄をがらつかせて出る。上野の山から根岸を抜けて、通新町を右へ折れる。お歯黒溝の

その当座宴会がむやみにある。上野の松源という料理屋がその頃盛であった。そこへ卒業生一同で教授

駈ける。掛声をして、提灯を振り廻して、御成道を上野へ向けて行く。両側の店は大抵戸を締めている。食物店の

僕を引張って行こうとしたには違ない。僕は上野の辻で、霽波と喧嘩をしたくはない。その上僕には負けじ

が僕の今の内へ遊びに来た。帰り掛に上野辺まで一しょに行こうということになった。さて門を出掛けると、三枝

新橋

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の事務員になって、東京を立った。それを送りに新橋へ行ったとき、古賀が僕に※語いだ。「僕のかかあになっ

千住

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千住に詩会があって、会員の宅で順番に月次会を開く。或

て車に乗る。安斎も僕も乗る。僕は「大千住の先の小菅だよ」と車夫に言ったが、車夫は返詞を

京橋

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た。その日には用を済ませてから、銀林が京橋の側の寄席に這入った。

隅田川

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いう方がおられた。二町程の田圃を隔てて隅田川の土手を望む処に宅を構えておられる。二階建の母屋に