江戸 樺太 秩父 東京 上野

では己達を歓迎したものだ。己の事を江戸の坊様と云っていた。」

「なんでも江戸の坊様に御馳走をしなくちゃあならないというので、蕎麦に鳩を

な。百姓の内でも段々厭きて来やがって、もう江戸の坊様を大事にしなくなった。鳩南蛮なんぞは食わしゃあしねえ。

植える方へ入れるのだ。己が立って見ていると、江戸の坊様も手伝ってお遣なさいと抜かしやぁがる。大ぶ江戸の坊様

坊様も手伝ってお遣なさいと抜かしやぁがる。大ぶ江戸の坊様を安く踏むようになりゃあがったんだな。こうなっちゃあ為方が

ぁがった。そして言草が好いや。里芋の選分は江戸の坊様に限ると抜かしやぁがる。」

「そのうち、もう江戸へ帰っても好さそうだというので、お袋と一しょに帰って来た

聯想は聯想を生んで、台湾の樟脳の話が始まる。樺太のテレベン油の話が始まるのである。

誰やらが、樺太のテレベン油は非常な利益になりそうで、始て製造を試みた何某の

「あれか。あれは樺太へ立つ前に己の処へ来たから、己が気を附けて遣ったの

のを持って、逃げ出した。落人というのだな。秩父在に昔から己の内に縁故のある大百姓がいるから、そこへ逃げて

東京化学製造所は盛に新聞で攻撃せられながら、兎に角一廉の大工場になっ

かは、己の意志でその度合が極まるのである。東京化学製造所長になって、二十五年の間に、初め基礎の危かった工場

そこへ逃げて行こうというのだ。爺いの背中で、上野の焼けるのを見返り見返りして、田圃道を逃げたのだ。秩父在

己とは広徳寺前の屋敷にぼんやりしていると、上野の戦争が始まった。門番で米擣をしていた爺いが己を