青年 / 森鴎外

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地名一覧

昌平橋

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夕の昌平橋は雑沓する。内神田の咽喉を扼している、ここの狭隘に、おりおり捲き起される

王子

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「王子は余り近過ぎるね。大宮にしよう」大村はこう云って、二等待合の

青山

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へ御真影を拝みに行ったことを思い出した。そしてふいと青山の練兵場へ行って見ようかと思ったが、すぐに又自分で自分を

名古屋

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ございましょう」と挨拶をする。どんな客かと問えば、名古屋から折々見える人だと云う。来たのは無論並の女中である。特別

根津神社

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降りて左側の鳥居を這入る。花崗岩を敷いてある道を根津神社の方へ行く。下駄の磬のように鳴るのが、好い心持である。

箱根

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「わたくし二十七日に立って、箱根の福住へ参りますの。一人で参っておりますから、お暇ならいらっしゃいまし

「お暇があったら箱根へいらっしゃいましね」と、静かな緩い語気で、奥さんは玄関に立ってい

、又端なく己の反感を促した。敵は己を箱根へ誘致せずには置かないかなと、己は心に思いながら右の

ある。その上に葉書が一枚乗っている。ふと明日箱根へ立つ人の便りかと思って、手に取る時何がなしに動悸が

純一が思い出したのは、坂井の奥さんが箱根へ行く日だということであった。誘われた通りに、跡から行こう

坂井の奥さんが箱根へ行く日だと思った跡で、純一の写象は暗中の飛躍をして

ゆうべ東京を立って、今箱根に着いた。その足で浴室に行って、綺麗な湯を快く浴びては来

寂しさ。純一を駆って箱根に来させたのは、果して寂しさであろうか。Solitude であろうか。そう

反理性的の意志の叫声になって聞え始めた。その「箱根へ、箱根へ」と云う叫声に、純一は策うたれて起ったに相違

植長の婆あさんに、年礼に廻るのがうるさいから、箱根で新年をするのだと云って、車を雇わせた。実は東京に

の筈であるから、どうしても、適当な時刻に箱根まで漕ぎ着けるわけには行かない。儘よ。行き当りばったりだと、純一は思って

た純一の心が、いよいよこれで汽車にさえ乗れば、箱根に行かれるのだと思うと同時に、差していた汐の引くように

自分は敢てしないと思っていた。それに今わざわざ箱根へ行く。これではいよいよ堕落して、瀬戸なんぞと同じようになるので

そこで純一の意識は無理な弁護を試みた。それは箱根へ行ったって、必ず坂井夫人との関係を継続するとは極まっていない。

あるから、余り遅くならないうちに泊って、あすの朝箱根へ行こうと思った。革包と膝掛とを自分に持って、ぶらりと停車場を

を聞かずにはいられなかった。お前は東京からわざわざ箱根へ来たではないか。それがなんで柏屋から福住へ行くのを憚る

箱根に於ける坂井夫人。これは純一の空想に度々画き出されたものであった

「箱根は夏の方が好いでしょうね」

と云うのだろうか、それとも岡村も奥さんも偶然同じ箱根の夏を知っているに過ぎないのだろうかと、まだ幾分の疑いを存じ

例之ば箱根を去るなんぞはどうだろう。それが好い。それなら断然たる処置であって、

箱根を去るのが実に名案である。これに限る。そうすれば、あの夫人

も好い。夫人がなんと思おうと構うことは無い。とにかく箱根を去る。そしてこれを機会にして、根岸との交通を断ってしまう。

捧げてはいない。なんの取柄があるのだ。己が箱根を去ったからと云って、あの奥さんは小使を入れた蝦蟇口を落した程

東照宮

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の前にも、馬車が幾つも停めてある。精養軒の東照宮の方に近い入口の前には、立派な自動車が一台ある。瀬戸が

動物園前から、東照宮の一の鳥居の内を横切って、精養軒の裏口から這入った。

東照宮の大鳥居の側を横ぎる、いつもの道を、動物園の方へ抜けるとき、薄暗い

華族会館

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社交的伎倆を逞うして、或る夜一代の名士を華族会館の食堂に羅致したのである。今後は賛助員の名の下に、社会

そんな新聞もあっても好い。しかし社員の中で只一人華族会館のシャンパニエエの杯を嘗めなかった路花はどうしても車の第三輪に

谷中

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まいと、純一の推測していた瀬戸が、一昨日谷中の借家へにこにこして来て、今夜亀清楼である同県人の忘年会に

九州

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せずに、はっきり言う。純一は国にいたとき、九州の大演習を見に連れて行かれて、師団長が将校集まれの喇叭を吹か

銚子

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が田舎者である筈がないと云う。とうとう安が故郷は銚子だと打明けた。段々聞いて見ると、瀬戸が写生旅行に行ったとき、

の里の町内に泊ったことがあったそうだ。いろいろ銚子の話をして、安が帰った跡で、瀬戸が狡猾らしい顔をし

精養軒

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動物園前から、東照宮の一の鳥居の内を横切って、精養軒の裏口から這入った。

北海道

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、お祖父さん椅子に、誰やらに貰ったという、北海道の狐の皮を掛けて、ベルタンさんが据わっている。夏も冬も同じ

本郷

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生徒や、小学校へ出る子供や、女学生なんぞが、ぞろぞろと本郷の通の方へ出るのに擦れ違ったが、今坂の方へ曲って見ると

僕も不精をしないで歩くとしようか。しかし君は本郷へ廻っては損でしょう」

銘々勝手な事を考えて、二人は本郷の通を歩いた。大村の方では田舎もなかなか馬鹿にはならない、

内神田

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夕の昌平橋は雑沓する。内神田の咽喉を扼している、ここの狭隘に、おりおり捲き起される冷たい埃を浴びて

駿河台

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たか。当時の新聞雑誌で見れば、ヴェネチアの街が駿河台の屋鋪町で、オセロは日清戦争時代の将官の肋骨服に、三等勲章

小石川

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この頃純一は久し振りで一度大石路花を尋ねた。下宿が小石川の富坂上に変っていた。純一はまだ何一つ纏まった事を始め

根津権現

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を降りて、追分から高等学校に附いて右に曲がって、根津権現の表坂上にある袖浦館という下宿屋の前に到着したのは、十

瀬戸は団子坂の方へ、純一は根津権現の方へ、ここで袂を分かった。

追分

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て、夕の薄衣に次第に包まれて行く街を、追分の方へ出た。点燈会社の人足が、踏台を片手に提げて駈足で

根岸

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博物館の門に突き当って、根岸の方へ行こうか、きのう通った谷中の方へ行こうかと暫く考えたが

ことを聞かない。先生の亡くなる僅か前に落成した、根岸の villa 風の西洋造に住まっておられるが、静かに夫の跡を弔っ

かいつもより寂しいようには思う。しかしその寂しさはあの根岸の家に引き寄せられる寂しさではない。恋愛もなければ、係恋もない

に、公園で十一時の鐘が鳴った。巡査が一人根岸から上がって来て、純一を角灯で照して見て、暫く立ち留まって見

純一の視線は根岸の人家の黒い屋根の上を辿っている。坂の両側の灌木と、お

灌木と、お霊屋の背後の森とに遮られて、根岸の大部分は見えないのである。

心理状態は可笑しなものである。己はあの明りを見て、根岸へ行こうと決心した。そして明りの附いたのと決心との間に、

闇とに飽いている上野の森を背に負うた、根岸の家の一間で、電燈は軟い明りを湛え、火鉢の火が被った

空は青く晴れて、低い処を濃い霧の立ち籠めている根岸の小道を歩きながら、己は坂井夫人の人と為りを思った。その時

年の老木の間に、温泉宿の離れ座敷がある。根岸の家の居間ですら、騒がしい都会の趣はないのであるが、ここは

廊下に出迎えた女を見れば、根岸で見たしづ枝である。

氷川神社

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二人は氷川神社の拝殿近く来た。右側の茶屋から声を掛けられたので、殆ど反射的

両国

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須田町で九段両国の電車に乗り換えると、不格好な外套を被て、この頃見馴れない山高帽を被

両国の橋手前で電車を下りて、左へ曲って、柳橋を渡って、高山先生の跡に附い

上野公園

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て待っていた純一は、瀬戸と一しょに出て、上野公園の冬木立の間を抜けて、広小路で電車に乗った。

京都

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をかく人に借していたが、先月その人が京都へ越して行って、明家になったというのである。画家は

巴里

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ようになった。そこで教師のベルタンさんに頼んで、巴里の書店に紹介して貰った。それからは書目を送ってくれるので

ある。ようようの思でこの人に為て貰った事は巴里の書肆へ紹介して貰っただけである。

さんに色々な事を問うて見たが、この人は巴里の空気を呼吸していた人の癖に、そんな方面の消息は少し

話に聞けば、あの背の低い、肥満した体を巴里為立てのフロックコオトに包んで、鋭い目の周囲に横着そうな微笑を湛え

無い。全身の弾力を保存しようという問題になるね。巴里の Institut Pasteur に Metschnikoff というロシア人がいる。その男は

長崎

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ベルタンさんは長崎から買って来たという大きいデスクに、千八百五十何年などという年号の

水戸

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には当らない。何も山鹿素行や、四十七士や、水戸浪士を地下に起して、その小さくなったイブセンやトルストイに対抗させるに

青森

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処を通って、ふと鶯坂の上に出た。丁度青森線の上りの終列車が丘の下を通る時であった。死せる

新橋

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(例)新橋停留場

出て、東京方眼図を片手に人にうるさく問うて、新橋停留場から上野行の電車に乗った。目まぐろしい須田町の乗換も無事に

はあるが、何から何まで新しい。これで昨夕始めて新橋に着いた田舎者とは誰にも見えない。小女は親しげに純一を

時上野がなんとなく気に入ったので、きょうは新橋から真直に上野へ来た。

っている婆あさんに送られて、純一は車に乗って新橋へ急がせた。年の暮で、夜も賑やかな銀座を通る時、ふと風炉

新橋で発車時間を調べて見ると、もう七時五十分発の列車が出

上野

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東京方眼図を片手に人にうるさく問うて、新橋停留場から上野行の電車に乗った。目まぐろしい須田町の乗換も無事に済んだ。

に見えて、しかも透き徹った空気に浸されて、向うの上野の山と自分の立っている向うが岡との間の人家の群が

処まで登ると、又右側が崖になっていて、上野の山までの間の人家の屋根が見える。ふいと左側の籠塀の

醒める時刻にはならないので、好い加減な横町を、上野の山の方へ曲った。狭い町の両側は穢ない長屋で、塩

のある光がさっと差して来た。坂を上って上野の一部を見ようか、それでは余り遅くなるかも知れないと、危ぶみ

となく気に入ったので、きょうは新橋から真直に上野へ来た。

上野へ行って文部省の展覧会を見て帰った。その時上野がなんとなく気に入ったので、きょうは新橋から真直に上野へ

ある。前日には大石に袖浦館の前で別れて、上野へ行って文部省の展覧会を見て帰った。その時上野がなんとなく

行きたい処でもあるなら、一しょに行っても好い。上野の展覧会へ行っても好い。浅草公園へ散歩に行っても好い。今

二人は初音町を出て、上野の山をぶらぶら通り抜けた。博物館の前にも、展覧会の前にも、

そうさ。僕もまだ極めてはいないのです。とにかく上野から汽車に乗ることにするさ」

「上野で食って出掛けるさ」

、板戸を卸す頃から、急に思い立って、人気のない上野の山を、薩摩下駄をがら附かせて歩いたこともある。

純一が夜上野の山を歩いた翌日は、十二月二十二日であった。朝晴れて

己はラシイヌを手に持って、当てもなく上野の山をあちこち歩き廻っているうちに、不安の念が次第に増長し

夜の静けさと闇とに飽いている上野の森を背に負うた、根岸の家の一間で、電燈は軟い

「わたくしあなたが上野の広小路あたりへ立って、かなぶんぶんを売っていらっしゃる処が拝見しとうございます

東京

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小泉純一は芝日蔭町の宿屋を出て、東京方眼図を片手に人にうるさく問うて、新橋停留場から上野行の電車に

田舎から出て来た純一は、小説で読み覚えた東京詞を使うのである。丁度不慣な外国語を使うように、一語一

「うむ。君が東京へ出てから中学へ来た田中という先生があるのだ。校友会

頷いて飯を食い始めた。食いながら座布団の傍にある東京新聞を拡げて、一面の小説を読む。これは自分が書いているの

大石が東京新聞を見てしまって、傍に畳ねて置いてある、外の新聞

、どうも空虚で、何を書いて好いか分らない。東京に出てからの感じも、何物かが有るようで無いようで、その

今東京で社会の表面に立っている人に、国の人は沢山ある。世

国で中学を済ませた時、高等学校の試験を受けに東京へ出て、今では大学にはいっているものもある。瀬戸のよう

ているには違ない。しかしこんなにしていて、東京が分かるだろうか。こうしていては国の書斎にいるのも同じ

自分は東京に来ているには違ない。しかしこんなにしていて、東京が

訪問する。家を一人で探して借りる。まるで百年も東京にいる人のようじゃないか」

「君、東京は百年前にはなかったよ」

東京に始めて出来て、珍らしいものに言い囃されている、この西洋風の夜の

それでは亡くなった主人と御同国でございますのね。東京へお出になったばかりだというのに、ちっともお国詞が出

も、さ程難有くもないように思った。純一も東京に出て、近く寄って預言者を見てから、渇仰の熱が余程冷却

て、快い冬の日を角帽と鳥打帽とに受けて、東京に珍らしい、乾いた空気を呼吸しながら二人は精養軒を出た。

云った純一は、心の中になる程と頷いた。東京の女学校長で、あらゆる毀誉褒貶を一身に集めたことのある人である

母とでも云いますかね。あの論から推すと、東京や無名通信で退治ている役者買の奥さん連は、事実である限りは

。珍らしい晴天続きで、国で噂に聞いたような、東京の寒さをまだ感じたことがない。

は賛助員の名の下に、社会のあらゆる方面の記事を東京新聞に寄せることになったという、この名士とはどんな人々であった

路花の書いている東京新聞は、初め社会の下層を読者にして、平易な事を平易な

、富坂上の下宿屋を出た。そして帰り道に考えた。東京新聞が大村の云う小さいクリクを形づくって、不公平な批評をしていた

「今晩出席しているのは、国から東京に出ているものの小部分に過ぎないようですが、一体どんなたちの

たら、国の詞でも聞かれるかと思ったら、皆東京子になってしまっているね」

、容赦なく純一の illusion を打破してくれる。殊に東京に出てからは、どの階級にもせよ、少し社会の水面に頭を

たが、今朝起きて見れば、曇ってはいるけれど、先ず東京の天気としては、不愉快ではない日だから、どこか出掛けは

〔The'a^trale〕 の来たのを、東京を立つ時、そのまま革包に入れて出たのである。

ゆうべ東京を立って、今箱根に着いた。その足で浴室に行って、綺麗

東京を立った三十日の朝、純一はなんとなく気が鬱してならないの

するのだと云って、車を雇わせた。実は東京にいたって、年礼に行かなくてはならない家は一軒も無い

に思われたので、風炉敷に包んだ。それから東京に出る時買って来た、駱駝の膝掛を出した。そして植長の婆あ

の皮は笋を剥ぐ如くに、一枚々々剥がれる。所詮東京の劇場などで演ぜられる場では無い。女の紙入れが出る。「お前

に繁華な土地に、今あろうとは思われない。現に東京では、なんの故障もなく留めてくれたではないか。

に持って、「お名前を」と云った。純一は東京の宿所と名前とを言ったが、純の字が分からないので、

「あの東京へ参りますのですが、上りの一番は何時に出ますでしょうか」

を嘲るのを聞かずにはいられなかった。お前は東京からわざわざ箱根へ来たではないか。それがなんで柏屋から福住へ

。夫人は根岸で別れてからの時間の隔たりにも、東京とこの土地との空間の隔たりにも頓着しないらしい、極めて無造作な調子

、厭な寂しさである。大村に別れた後に、東京で寂しいと思ったのなんぞは、まるで比べものにならない。小さい時、小学校

ないからね。それ、あの兜虫のような奴さ。東京でも子供がかなぶんぶんと云って、掴まえておもちゃにするのだ。

Der Teufel hole sie! だ。好いわ。早く東京へ帰って書こう。

から、まだ二箇月余りを閲したばかりではある。しかし東京に出たら、こうしようと、国で思っていた事は、悉く泡沫

世界から、いろいろな客が音信れて来る。国を立って東京へ出てから、まだ二箇月余りを閲したばかりではある。しかし東京

の短い脚本を藍本にしようと思ったこともある。東京へ出る少し前にした、最後の試みは二三十枚書き掛けたままで、

冷かになった心で、自己を反省し出した。東京へ帰ろうと云う決心を飜そうとは思わない。又それを飜す必要

駒込

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だ。モデルが病気だと云って出て来ないから、駒込の友達の処へでも行こうと思って出掛けた処だ」

田端

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附いた外套を着た客を載せた車が一つ、田端の方へ走って行った。

浅草

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に行っても好い。上野の展覧会へ行っても好い。浅草公園へ散歩に行っても好い。今一つは自分の折々行く青年倶楽部

なくても、人と一しょに見るのが嫌である。浅草公園の昨今の様子は、ちょいちょい新聞に出る出来事から推し測って見ても、

の、小鳥の囀るような、可哀らしい声を聞いて、浅草公園の菊細工のある処に這入って、紅雀の籠の前に足を

に曲がった。純一は始て気が附いて見れば、浅草へ行く車であった。宴会の席で受けた色々の感動が頭の

神田

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て、錦町で降りた。横町へ曲って、赤煉瓦の神田区役所の向いの処に来ると、瀬戸が立ち留まった。

門口で別れて、瀬戸は神田の方へ行く。倶楽部へ来たときから、一しょに話していた男

で自分に言いわけをした。それから二三日前に、神田の三才社で見附けて、買って帰った Huysmans の小説の

銀座

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こう云って茶碗の主は、純一が銀座のどこやらの店で、ふいと一番善いのをと云って買った、

乗って新橋へ急がせた。年の暮で、夜も賑やかな銀座を通る時、ふと風炉敷包みの不体裁なのに気が附いて鞆屋に

小川町

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純一が小川町の方へ一人で歩き出すと、背後を大股に靴で歩いて来る人

合せる為めに、余程加減をして歩くらしいのである。小川町の通を須田町の方へ、二人は暫く無言で歩いている。

大宮

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「王子は余り近過ぎるね。大宮にしよう」大村はこう云って、二等待合の方に廻って、一

三時過ぎに大宮に着いた。駅員に切符を半分折り取らせて、停車場を出るとき、大村

の交っている茂みを見込む、二本柱の門に、大宮公園と大字で書いた木札の、稍古びたのが掛かっているので

していて、どこかの茶店に休んでいた。大宮で休んだような、人のいない葭簀張りではない。茶を飲ん

日暮里

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暫くは誰も物を言わない。日暮里の停車場を過ぎた頃、始めて物を言い出したのは、黒うと

赤羽

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赤羽で駅員が一人這入って来て、卓の上に備えてある煎茶の湯

浜町

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は亀清の帰りに、両国橋の袂に立って、浜町の河岸を廻って来る電車を待ち受けて乗った。歳の暮が近くなっ

上野広小路

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帰りの切符を出して、上野広小路への乗換を貰った。そして車掌に教えられて、廐橋の通りで乗り換え

神保町

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、針金で編んだ書類入れに入れた。これは純一が神保町の停留場の傍で、ふいと見附けて買ったのである。

品川

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純一は暫く向いの窓に目を移している。汽車は品川にちょっと寄った切りで、ずんずん進行する。闇のうちを、折折どこか

両国橋

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障子に嵌めた硝子越しに、隅田川が見える。斜に見える両国橋の上を電車が通っている。純一は這入ると直ぐ、座布団の明いて

純一は亀清の帰りに、両国橋の袂に立って、浜町の河岸を廻って来る電車を待ち受けて乗った

隅田川

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が附いている。一方の障子に嵌めた硝子越しに、隅田川が見える。斜に見える両国橋の上を電車が通っている。純一は

京橋

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のだが、後になって外から聞けば、母親は京橋辺に住まって、吉田流の按摩の看板を出していると云うことだっ