右門捕物帖 23 幽霊水 / 佐々木味津三
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のがね、若衆歌舞伎の一座を引きつれて、はるばるとこの江戸へ下り、十日ほどまえから奥山に小屋掛けして、お盆を当て込んでの
た。べらぼうめ。ほかならぬこの伝六様がお住まいあそばす江戸のまんなかに、そんなバカなことがあってたまるけえ。おおかた、河童の野郎か
もほどがあらあ、おれが出かけるにもあたるめえ。のう、江戸のあにい、伝六親方、おめえだいぶべっぴんにご執心のようだったから、ひとっ
じゃねえか。おれも二つしか耳はねえが、この江戸で女のかんざしをさしている男があるという話はまだ聞かねえよ。
「ちげえねえ。当節は江戸で、女の色忍びがはやるっていうからね、べらぼうめ、べっぴんのくせに
ずに押し入りました。ここはまえと違って、いかさま、江戸のお盆人気をひとりで占めているらしく、わんさわんさの大入り繁盛です。しかも、
いい男じゃござんせんかい。ちくしょうめ、おれに断わりもなく、江戸の娘っ子がうだるほど来ていやあがらあ。いささかくやしいね」
いう必要もあるめえ。あっさりするんだ、あっさりとな。江戸のごひいき筋は、かば焼きをおあがりあそばすにも油をぬくぞ」
「よし、わかった。聞くもけがらわしいや。江戸の女のべっぴんぶりに目がくらんで、手ごめにでもしたというの
「控えろッ、むしのいいにもほどがあらあ。江戸の女は、お囲い者でも操がいのちのうれしい心意気を持っているんだ
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(例)善光寺辰
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「箱根から東へはお化けも河童も出ねえってことに相場が決まってるんだが
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「あたりめえよ。おれゃ八丁堀でひと涼みしているから、あっちへつれてきな」
気楽な八丁堀のひとり住まいのお組屋敷で、すだれごしに流れはいる涼風をいっぱいにあびながら
「とんでもねえことになったんです。八丁堀へお伺いしたるすにやられたとみえて、けえってみると、むごい
「八丁堀の右門が不審のかどあって差し止めたのだッ。騒ぐなッ。騒ぐな
きょうはおいらが身ぜにをきって乗るんだ。ぱんぱんと八丁堀まで雲に乗って飛んでいきな――」
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じつあ、余のことじゃねえんですが、だんなはいま奥山に若衆歌舞伎の小屋を掛けている大坂下りの嵐三左衛門っていう役者のうわさを
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ようなわけだからね、てがらのおすそ分けに、さいわい両国までは遠くねえし、屋形船かなんかを浮かべて、ぱいいち涼み酒とはどんな
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「ゆうべはたしか浜町河岸の栗木屋っていう水茶屋に宿をとっていたはずでござんす」
、伝六ともども御用駕籠をそろえながら飛ばしていったのは、浜町河岸のその栗木屋です。――さすがのおひざもと大江戸も、真夏の酷暑