右門捕物帖 03 血染めの手形 / 佐々木味津三
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夜もふけた五ツ過ぎ。――大宮を一本道に熊谷へ出て右に忍まで行くほうがずっと近いことを知っていましたが
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、行くことおよそ十町ばかり、道を少し左へ切れて武蔵野特有の疎林に囲まれながらわびしく営まれていた幽光院というお寺
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が、少々ばかり方角が変わりまして、場所はおひざもとの江戸でなく、武州忍のご城下に移ります。江戸八丁堀の同心が不意になわ
は、知恵伊豆といわれるほどの大人物がわざわざ自分を江戸から呼ぶくらいだから、必ずやこの犯罪は忍一藩だけのものであるまい
であるまいとにらんだからで、とすれば、なにか江戸とも連絡がある犯行に相違あるまいから、あるならばそういう場合の犯罪者
、あるならばそういう場合の犯罪者の心理として、江戸との連絡通信網をだれにも選びやすい近道の熊谷街道へおかずに、かえって人
おかせぎなせえよ――互いにそう言いかわしながら、ひとりは江戸の方角へ、ひとりは反対の羽生街道へわかれわかれになってすたすたと足を早め
様おことばに生き写しでござりまするが、もしやご貴殿は江戸からおこしの近藤右門どのではござらぬか」
あいつをしょっぴいていこうと気がついたなあ、さすがおめえも江戸の岡っ引きだな。そのおてがらに免じて、逃げたものならほっとくさ。いずれ
と奇怪がるのも少々考えもので、してみれば何か江戸と連絡のある犯罪ではあるまいかなぞと先っ走りをして考えたこと
しかし、右門は凛然として、もはやむっつり右門にかえり、江戸から用意の雪駄をうがち、天蓋を深々と面におおい、腰には尺八を
を見せませんが、おっつけご入来になりましょうからね。江戸へのみやげ話に、ちょっぴりとねんごろになっておきなせえ。ゆうべの赤い顔は、
第一の美姫、まだつぼみのままじゃが、所望ならば江戸へのみやげにつかわしてもよいぞ」
先の日、久喜のあのいなりずし屋で見かけたうちのひとりの、江戸へ行ったほうのに似ているらしいのですが、不思議なことに、くだん
をとっているそこの両名は、ご城下で興行中の江戸の旅役者どもでござりますから、こよいの命を的にした大役をじゅうぶんお
、椎の実を割ってみると中に仕込んで無数の江戸から届いた手紙があったものだから、それによってあいつらの頭目が
は逃げたが、とうとうほしどおりおれのしばいが当たって、江戸から飛んできた新しいさるまわしのやつをまんまとわなにひっかけて、椎の実の
椎の実の中の手品から今夜上さまのお忍びで江戸からご入城のこともわかり、あいつらの計画もいっさいがっさいねたがあがっちまった
様とお打ち合わせをする、それからお城下をとびまわって、江戸を出がけのときにお奉行様からいただいた百両で役者をふたり見つけ出し、
城内の様子までかぎ出したのだろうわい。おれときさまの江戸から下ることまでをもかぎ出してな。それから伊豆様にわざと願って、おれ
ことでございましょうか! おあにいさまはおりがあったら江戸からお下りのおかたのお命を奪えとのおいいつけでございましたけれど
のように、黙々と暗い城下の道のやみの中を江戸へ向けて立ち去りました。
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向けて北上すべきなのに、気がついてみると新宿を通りすぎて、いつのまにか甲州口を西へ西へとこころざし
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かと思って、たえず注意をつづけてまいりました。久喜の宿へはいったのが翌日の午の下刻――。
近いことを知っていましたが、右門はわざと反対に久喜から羽生へ回り道をいたしました。この回り道をした点が、やはりむっつり
であり、したがってわざわざ羽生街道を迂回したことも、久喜の茶店からご苦労さまにさるまわしのあとをつけてきたことも、今と
突然腰をこごめて、ひどく何かを恐れながら、あのとき久喜の宿でもしたように、飯籠をあけて、ひとつかみ中の椎
の姿をよく見ると、どうやら右門と伝六が先の日、久喜のあのいなりずし屋で見かけたうちのひとりの、江戸へ行ったほうのに
もうひとりあったものだから、それと知ってさるまわしたちが久喜の宿でも会ったように、たちまち八方へ飛び、まずつじ切り事件が最初
だからな。まずやっこめをひっくくっておいて、きさまも久喜の宿でとくと見届けたはずだが、あの椎の実のやりとり一件を
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もうとっぷりと春の夜もふけた五ツ過ぎ。――大宮を一本道に熊谷へ出て右に忍まで行くほうがずっと近いことを