右門捕物帖 19 袈裟切り太夫 / 佐々木味津三
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。もちろん旧暦ですから、九月も二十日を越えると、大江戸もこれからがもみじの秋で、上野のお山の枝々こずえに、ちらほらと
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ではたいへん上等なお茶を召し上がってのようだが、宇治のいいところがあったら、一煎いれてくださいな」
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日本晴れの顔つきで、のどかにちょこちょこ帰ってきたのは善光寺の辰でした。
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「おいら川越の山育ちなんだからな、猿公なんぞちっとも珍しくねえんだがな」
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待っているところへ、江戸はどっちだというような日本晴れの顔つきで、のどかにちょこちょこ帰ってきた
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ので、辰とふたりの道中もまた一興とばかりに、八丁堀を出たのが五ツ下がり、途中駕籠を拾って、目ざした水金にみこし
殺しようをしやがったかと、腹をたてたて、八丁堀へけえってみると、だんなもだんなじゃござんせんか。いくらあっしが水を
まず一つ伝六を驚かしておくと、八丁堀の名物の巻き羽織のままで、案内も請わずさっさと通りました。しかるに
「お初に……八丁堀の者でござります。とんだご災難でござりましたな」
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(例)両国河岸
のが、上方下りの生き人形に、隼伝之丞の居合い抜き、両国河岸のほうでは、娘手踊りに中村辰太夫が勧進元のさるしばいでした。さら
るといっしょで、決まったように繁盛しだすのは浅草と両国河岸の見せ物小屋です。このとき浅草で評判とったのが、上方下りの生き人
「それでも御意に召さなきゃ、ことのついでに両国までのすなんてえのも、ちょっと味変わりでおつですぜ」
て、ぼんやりしているところはねえんですがね、今から両国へ気保養に行くんだから、だんなの雲行きの変わらねえうちに、はええとこ
降ろしたのがちょうど四ツでした。――むろんのこと、両国は夏のものですが、秋口に見る水のふぜいというものもまたなかなかに捨て
、なんとも大笑いなことには、連れていったその先は、両国河岸から五、六町とない目と鼻の新光院通りでした。
らひとりで遊ぶもんじゃねえ。おめえは今から大急ぎで両国までいってきな!」
かなわねえな。造りは細かくても、気は大まかですよ。両国へ行くはいいが、何を洗ってくるんです※
黙ってたんじゃわからねえよ。鼓だけで気に入らなきゃ両国から袈裟切り太夫をつれてきて、けだもの責めにしてやってもいいが、それ
べ松平様のお屋敷からこっそり抜けてかえり、鼓一つで両国からさるをここまでおびき出し、すやすやと眠っていたこの仏をば袈裟御前
追い出されそうだし、ところへたまたま耳に入れたのが両国のあの袈裟切り太夫のうわさでござりました。たいそう真に迫った人切りの
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しだすのは浅草と両国河岸の見せ物小屋です。このとき浅草で評判とったのが、上方下りの生き人形に、隼伝之丞の居合い抜き
になるといっしょで、決まったように繁盛しだすのは浅草と両国河岸の見せ物小屋です。このとき浅草で評判とったのが、上方
じゃござんせんから、ひとつどうですかね、久方ぶりに浅草へのすなんてえのもあだにおつな寸法だと思うんだが、御意
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日を越えると、大江戸もこれからがもみじの秋で、上野のお山の枝々こずえに、ちらほらとにしき模様が見えるようになるといっしょ