右門捕物帖 32 朱彫りの花嫁 / 佐々木味津三
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川のこっちは浅草もはずれの橋場通り、向こうは寺島、隅田とつづく閑静も閑静な雛の里です。
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まことに涼味万斛、墨田の夏の夕だち、八町走りの走り雨というと、江戸八景に数えられ
「おどろいたね。目がくらくらしやがって、墨田の川がどっちにあるか見当もつかねえや」
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どこのだれであるかその詮議、第四にはあのすばらしく江戸まえな朱彫りの彫り手はいったい何者であるかその詮議。第五にはお
「道理でのう。おれも江戸の彫り師なら五、六人名のある男を耳に入れていねえわけじゃ
の伝六っていう勇み男なんだ。こっちのだんなは、江戸の娘がぞっこんの――」
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「わかりました。八丁堀ですね」
「ああ、八丁堀だよ。右門のだんなさまといやあ、すぐわかるはずだからね。ほら、お
夕だちあとのすがすがしい星空の下を八丁堀までずっと舟。帰るが早いか、ほんとうにそのまま青蚊帳の中へ、楽々と
もように変わりました。お組屋敷を出はずれた一軒と、八丁堀の河岸ぎわに一軒と二カ所あるそのお湯屋のうちの、遠い河岸ぎわ
「えへへ……たて引くかい。おら、八丁堀の伝六っていう勇み男なんだ。こっちのだんなは、江戸の娘がぞっこん
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てあるのでした。絵は咲きみだれた小菊、すみに小さく両国新花屋と見えるのです。しかも一本だけではない。五十本ほどの扇子のほと
「両国の新花屋だよ」
。咲きみだれた小菊がどれにもかいてあるじゃねえか。両国新花屋小菊と申す女でござります、といわず語らずにこの絵でちゃんとご披
神田代地から両国河岸までは、柳原の土手伝いにまっすぐ一本道です。このごろできた岡場所
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かい。こないだは箱根へとっぱしったが、今度は奥州仙台石巻とでもしゃれるんですかい」
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川のこっちは浅草もはずれの橋場通り、向こうは寺島、隅田とつづく閑静も閑静な雛の
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、そうでござんしたか。ほんにそのとおりでござんす。日本橋ではお客ばかりでゆるゆるおやすみなさるところもござんすまいからね。ええもう、
です。早めて式をあげたはいいが、話のとおり日本橋のほうでは人目もうるさいし、何やかやとまだごたついて、ゆっくり語らう
「だめですよ。そこは日本橋だ。何をぼんやりしているんですかよ!」
「じろじろと人が見ているじゃござんせんか。日本橋から飛び込んだっても死ねやしませんよ。五十三次東海道へは行かれるが
だが、名人は黙々、しんしん、そこが日本橋であるのも、橋の上であるのも知らないもののように、
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とっぶり暮れてしまえば、向島もこのあたりになると、まったくもう灯の影もない。
「よろしい! その心ならば、今すぐ向島の寮へ参られよ! しかじかかくかくであったと、そなたから正直に
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ねえんで、あんまり世間に知られちゃおりませんが、神田の代地の伊三郎ってえいうちょっと気性の変わった名人はだの親方ですよ」
朝まだき、夏の大江戸の町は、すがすがしい涼風でした。神田の代地は、柳原寄り、籾倉前の狭い一郭である。軒ごとに捜し
神田代地から両国河岸までは、柳原の土手伝いにまっすぐ一本道です。このごろでき