上田市 高崎市 高崎 富士山 長野 福島 千葉 前橋 上野 新宿 東京 目黒 千住

ふえたこと、で、それを消すために、つひに長野縣上田市の遊廓、Ｍ樓へ女郎として送られたこと。この時、彼女を

一枚の電報を見せながら言つた。「この電報通り、上田市のＭ樓から、君の女房の取り押さへ方を依頼されてゐるのだ

おきみのからだが、上田市のＭ樓へ引き渡されずに、どうして前橋の大阪屋へ引き渡された

れたこと。が、一年足らずして、群馬縣高崎市Ｙ町の銘酒屋へ轉賣されたこと。この時は前借が四百圓にふえ

前橋のＫ町、そこは高崎のＹ町と同じ組織の賣春屋で充たされてゐた。群馬縣は日本

た。そこには、おきみの新しい買ひ手である高崎の銘酒屋の主人と、一人の女衒とが坐つてゐたのである。

た電燈、壁に貼りつけた活動俳優のプロマイド、ペンキ畫の富士山の額、一生懸命に明るく華やかに飾りつけてゐながら、そこには塵箱の中の

日ほど前の夜のことであつた。おきみは、長野發の終列車で上野へ着いた。そして、省線電車のガード下に待つて

。ぶちまけたことを言やア、わしア、お前達がこないだ長野の方から來た終列車で上野へ着いた時から、後をつけてた

圓にふえたこと、で、それを消すために、つひに長野縣上田市の遊廓、Ｍ樓へ女郎として送られたこと。この時

――今から二年前の春、はじめて福島縣Ｋ町の料理屋へ百五十圓で賣られたこと、しかしこれは、彼女

ふみちやんといふのは、同じ家に働かされてゐる千葉生れの、十三の時に男を知つたといふ、大根のやうな手足

の走り書の紙片が入つてゐた。Ｋ警察から、前橋の警察の手に渡されたこと、それから、曾ておきみを信州上田

が、上田市のＭ樓へ引き渡されずに、どうして前橋の大阪屋へ引き渡されたか？

前橋のＫ町、そこは高崎のＹ町と同じ組織の賣春屋で充たされ

のことであつた。おきみは、長野發の終列車で上野へ着いた。そして、省線電車のガード下に待つてゐた周三と一緒

わしア、お前達がこないだ長野の方から來た終列車で上野へ着いた時から、後をつけてたんだよ。ちやうどわしが

二人はすぐ省線に乘つた。新宿で下車した。その足ですぐ旭町へ入つて行つた。そして狹い

や、俺ア師匠の名をつぐんだぜ。そしたら新宿の新歌舞伎座で、大々的襲名披露の看板を掛けて、一ヶ月ぶつ通して

「……新宿の、いつかの木賃宿。」

周三は、新宿旭町の宿、マルマンの三疊へ落ちつく間もなく、一人の警官に踏み込ま

ものが隱れて絶對××だてえ所は、廣い東京にも、こゝと××の二ヶ所しかねえんだ。そりやお前達

彼女はつひに逃亡を決心し、良人周三の手を借りて東京へ脱け出して來たこと。

「冗談いつちや困ります。そりや東京で二三年働いてはゐたが、何も淫賣屋にゐたといふ

轉賣して、絶對にこの世界から逃がさない點は、東京の私娼窟と少しも變りがなかつた。

東京のＴやＫの魔窟は、その周圍を取り卷く商店街との握手に

のやうにギラ／＼光らしてゐた。その相貌は、東京のＴ私娼窟のあの妖婆の家に監禁されてゐた「蜘蛛の女

を呼んでゐる娘ね、あれはやつと十七よ。こないだ目黒の方からうちへ初めて遊びに來て、店へ坐つて鏡を見て

その夜周三は、千住の木賃宿へ泊り、翌日の夕方、旭町のマルマンへ行つて見た。