箱根 塩原 十和田湖 十和田神社 草津

明治卅六年の秋のはじめに自分は三島から箱根の山越をしたことがある。箱根村に近づいて来た頃霧が自分

其の後、塩原から尾頭峠を越えた人の噺を聞いた。それは霧の中であつ

からである。自分は蔦の花だと了解した。塩原に行つた人は、赤味を帯びてさうして皺のよつたやうな然か

。自分は人夫を一人連れて七里の間道を山越に十和田湖へ行つた。山は雨であつた。人夫は途中で通草の実が採れる

そこらにコカはないのかと思つた。其晩は十和田神社の別当の家へ泊つた。湖畔であつたが酷く隠気であつた。

明治四十一年の秋、自分は上州の草津へ越えるために信州渋の温泉場へ一夜宿つた。渋は其十年前

温泉場へ一夜宿つた。渋は其十年前におなじく草津へ越えるために宿つた土地である。自分は夜になるとすぐに鶴爺