信濃川 佐渡 新潟 小樽

である。あたりを見ると海は一面の濁りである。信濃川が泥土を溶かして間斷なく吐き出して居るので此の如く黄變した

佐渡が島

。此小柄な男と若者と噺をはじめた。若者は佐渡から小樽へ出稼に行つて居たのであるがもう季節に成つたので

稻刈にもどつて來たのだといふと、さうか佐渡は仰山稻が出來たと大きな聲で小柄な男がいつた。彼は割合

昨日は「ダシ」といふ嵐が越後の山から佐渡へ吹きつけたので、此汽船は昨日のうちに新潟へ來て居て今朝

解纜する筈なのであつたが、今日の午近くまで佐渡を離れることが出來なかつたといふことである。余はまだ午になら

たら、「巾着はたき」と女がいつた。さうして佐渡の土産に十も買うとくなはれと復た女がいつた。余は手拭の

が一つに重つて居た。振りかへるともう新潟の港はどことも分らぬ。船體が漸く動搖し始めた。

から佐渡へ吹きつけたので、此汽船は昨日のうちに新潟へ來て居て今朝解纜する筈なのであつたが、今日の午

が仰山安いから俵へ二俵買うて來た。また今朝新潟の市へぶらつと行つて見たら此も仰山安いから此れだけ買うて來

噛つたら矢ツ張佳味い梨であつた。余は新潟は恐ろしく梨の安い所だといつたら、博勞は「アヽ越後は安い

小柄な男と若者と噺をはじめた。若者は佐渡から小樽へ出稼に行つて居たのであるがもう季節に成つたので稻刈