ナポリ 島原 パレルモ 鹿島 江戸 鎌倉 九州 東京

ゲエテが古い伊太利亞紀行を讀んでも、殊に其エネチア、ナポリ、シシリヤ等の諸篇は同樣の興味からして予等の膝を打たしめる

千七百八十七年三月二日ナポリにてとある日附のゲエテが伊太利亞紀行の中にも同じ心持が書いてある。

、予は未だ漫遊の機を得ない。其他天草、島原等の九州の諸港でも、紀州沿岸の江浦でも、近く房州、伊豆等

いふ當り前の書き出しから、前日強い北風に送られてパレルモに向けて航行したる弗列戛艇の事を報じ、「かの風なれば今度の

も必しも珍らしいものでは無いかも知れぬ。香取、鹿島の兩社は遠く藤原氏の時代から勢力のあつた社で、その末社も少く

の中の暗い水族館の金魚を思ひ出させたのである。江戸が澁い趣味を東京に殘したのも故ある事だ。またゲエテは

歌の文句は善く分らない。「鎌倉の御所のお庭に椿を植ゑて、植えて育てて云々」といふの

未だ漫遊の機を得ない。其他天草、島原等の九州の諸港でも、紀州沿岸の江浦でも、近く房州、伊豆等に於て

金魚を思ひ出させたのである。江戸が澁い趣味を東京に殘したのも故ある事だ。またゲエテはナポリ人が馬車を

東京では冬は、市街は澁い銀鼠と白茶の配調が色彩の主調

たからである。今の樣な交通の便利の時に、東京から遠くない所にさう云ふ者を求めると云ふ事は第一無理である

は一向平氣で見とれて居るのである。然し此地も東京と同じく、三十未滿の人達は松前五郎兵衞は愚か、もう白井

の尾に芳虎の『英吉利國』の畫、清親が「東京名所圖」其他「無類絶妙英國役館圖」「第一國立銀行

然し君とてもかういふ想像はする事が出來るだらう。即ち東京からさう遠くない港へ、押送り、乃至珍らしい蒸氣船で、「窮理

もと押送りに乘つて東京通ひをして、仕切も取り勘定も濟ました後の早朝出帆に