箱根山 大阪 伊吹山 濃尾平野 名古屋 静岡 富山 京都 大津 千住 上野

箱根山にかかると、車内も大分落着いて来た。午後十時半だ。只、私の

之は大阪にいる私の友人のＡ――に持って行ってやる金なのだ。

彼から金を取出す相談を始めた。その中に友人は大阪へと旅立ったが、彼はふとある謀計を思いついたので、私と東西

手品の種は恰度友人が大阪に着いて間もなく、そこに二つの大きな脅迫が起った。之は

渋々承知した。そうして脅迫状指定の通りに現金を大阪の某地で渡す為に、私に大阪まで金を持参する事を依頼した

の通りに現金を大阪の某地で渡す為に、私に大阪まで金を持参する事を依頼した。私はそれを快く引受けた。

「大阪までです」

。実は私は今回の被害者Ａ――氏から同氏の大阪に旅行中の令息にかかる脅迫事件の依頼を受けたのです。私はＡ

氏に兎に角要求だけの金を令息の友人に言伝けて大阪まで持参させる事を勧めたのです。そうして私自身その後をつける積りでし

た。その時に語った所によりますと、彼は大阪の脅迫が成功すると上京しかねてＡ――氏を覗っていたの

汽車が濃尾平野を横断して、伊吹山の麓を迂廻しながら、近江平野に這入っても、探偵も老翁も姿を

汽車が濃尾平野を横断して、伊吹山の麓を迂廻しながら、近江平野に這入っても、

も知れんが――を見つける事が出来たので、名古屋から電報を打っといたのじゃ。で、この二人のうち一人が犯人なの

と左右に揺れると、スウーッと薄明いプラットホームに這入った。静岡である。

「静岡ですか」

「機械科？　富山君はどうしてるかね」

富山と云うのは機械科の次席教授で世界的学者だ。

大津、京都、私は朧ろにしか知らなかった。

京都を過ぎる頃から私は少しずつ元気を恢復して来た。美しい青田の

大津、京都、私は朧ろにしか知らなかった。

たて。俺なども上野の戦争で逃げた時には千住で町人の姿になってな、イヤ危い目に会うたものじゃ」

なったり、多少は姿が変えられたて。俺なども上野の戦争で逃げた時には千住で町人の姿になってな、イヤ

「ほほう、上野の戦争とは古い事ですな」頬骨の男は驚いている。そうし