黄鳥の嘆き / 甲賀三郎

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地名一覧

乗鞍岳

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子爵二川重明が、乗鞍岳の飛騨側の頂上近い数百町歩の土地を買占めただけなら兎に角、そこの大

で、野村は幾分安心していたのだったが、乗鞍岳の雪渓を買占めて、発掘し出したという事になると、どうも発狂

二川は乗鞍岳の雪渓の発掘を始めてから、以前にも増して、容態が悪くなった

――乗鞍岳の大雪渓の発掘を始めて、問題を惹き起していた二川子爵は、極度

「乗鞍岳なんて、どこから考えついたのでしょう。むろん二川君は行った事はないと思い

が二十三四の時に登った山ちゅうのは、乗鞍岳だした。いよ/\こゝへ行きかけた時に、私は泣きとうなりまし

時に、私は泣きとうなりましたな。御承知の通り乗鞍岳は御嶽さんの南にある山だして、御嶽さんよりは鳥渡低いが、三千

で、つまる所、私が態々乗鞍岳へ登って、得て来たちゅうものは、この一つだけだすが、之

、いや、気違いそのものの行為であっても、僕は乗鞍岳の雪渓を発掘せずにはいられなかったのだ。むろん、僕はその

重明が何故乗鞍岳の飛騨側の雪渓の発掘などと途方もない事を企てたのか、はっきり

関西

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和武は東京を飛び出して、関西に来ると間もなく、花江と馴染になったらしいのだす。和武はやっと

野麦峠

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頂上へ行って見たくなる。今いう旅人もそれで、野麦峠からふと乗鞍に登りたくなってやって来た。所が急に雨に会うて

大阪

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二川重武は多く関西方面にいたから、大阪の有名な私立探偵社の社長砂山二郎が、その為に選ばれることになっ

いたします。只今御紹介下さいましたように、私は大体大阪のもんで、大阪の警察に永いこと勤めまして、辞めてから、砂山探偵

紹介下さいましたように、私は大体大阪のもんで、大阪の警察に永いこと勤めまして、辞めてから、砂山探偵事務所に這入りまして

日本アルプス

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のだ。然し、野村にも、そんな男が何故急に日本アルプスの雪渓を掘り始めたかという理由は全然分らなかった。

身持が改って、山登りを始めた。山登りちゅうても、日本アルプスちゅう奴ですな。今こそ日本アルプスちゅうと、女でも子供でも行きます

。山登りちゅうても、日本アルプスちゅう奴ですな。今こそ日本アルプスちゅうと、女でも子供でも行きますが、その頃は中々どうして

大野川

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沿うて、野麦街道から奈川渡に出て、そこから、大野川に行って、山にかゝり、降りる時は、飛騨側の北平の雪渓を渡っ

京都

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「京都の里へ養生に行っているよ」

朝子さんの里は京都の或る公家なのだ。

男から、二川の細君は妊娠して、その養生の為京都の里に行っているという事を聞いた。

子供が生れたという報を受取って、京都へ飛んで行き、やがて帰って来た時の、彼の歓喜雀躍ぶりは

二男の方は京都でも有数の旧家で、当時大きな呉服店だった高本という家に養子に

先ず朝子を妊娠と称して、京都にやり、高本の子供の生れるのを待っていた。

東京

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かいって、信州や飛騨の山を歩いているらしい。東京にいて女狂いや詐欺みたいな事をされるより勝しだと思って

目出度い事のあったのを幸いに、勘当を許して、東京に住むようにして上げたらどうだ」

上京するという手紙を寄越したそうだが、仮令彼が東京で住む事になっても、二川家には大した波瀾は起らないだろうと

なものだったらしい。というのは、重武はその後東京に引移り、二川家から相当額の支給を受けて、大きな顔をして

和武は東京を飛び出して、関西に来ると間もなく、花江と馴染になったらしい

でも和武の固うなったのを認めたと見えて、東京へ帰って来いといって来たのです。その時に和武は大へん喜ん

た。それきり鼬の道だす。山から帰ったとも、東京へ行ったとも、一言もいうて来ず、むろん姿は見せはりやし

はんは兎に角山に行って来る。帰って来たら、すぐ東京に行って、今いった通り運ぶよって、いうて山へ行かはりまし

から、お前を日蔭者にはしとうない。といって、東京の兄さんは固い一方で、芸者なんて、頭から汚れたものだと思ってる

「かーはんはえらい喜びようで、花江、とうとう僕も東京に帰れるようになった。僕は妾の子で、その為にどれだけ

は訴訟をすっかり取下げました。それと同時に、和武は東京に永住することになって、子爵家に大手を振って出入するように

市ヶ谷

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といって大声を上げました。そしたら、直ぐに市ヶ谷さまが飛んでお出になりました――」

「なにッ、市ヶ谷さまだって」

に住んでいたので、二川子爵家の雇人達は市ヶ谷さまと呼んでいたのだった。

野村は吃驚した。重武は市ヶ谷に住んでいたので、二川子爵家の雇人達は市ヶ谷さまと呼ん

「はい、市ヶ谷さまは何とも仰有いませんでした」

「市ヶ谷さまが、之は大変だ、直ぐ警察へ電話を掛けろ。誰も触っちゃ