源氏物語 55 手習 / 与謝野晶子 紫式部None
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そのころ比叡の横川に某僧都といって人格の高い僧があった。八十を越えた
に所々でとめて病人に湯を飲ませたりした。比叡の坂本の小野という所にこの尼君たちの家はあった。そこへ
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ことになってはならぬと胸を騒がせてすぐに宇治へ来た。ほかから見ればもう惜しまれる年齢でもない尼君であるが
し、加持をする声が絶え間もなく聞こえていた。宇治の村の人で、僧都に以前仕えたことのあった男が、宇治の
人で、僧都に以前仕えたことのあった男が、宇治の院に僧都が泊まっていると聞いて訪ねて来ていろいろと話をする
もなかった。初瀬で見た夢の話もして、宇治で初めから祈らせていた阿闍梨にも尼君はそっと祈祷をさせて
なりますね。どこの何という家の方で、なぜ宇治というような所へ来ておいでになりましたの」
とりなしにも気高いところがあった。ここは浮舟のいた宇治の山荘よりは水の音も静かで優しかった。庭の作りも雅味があっ
の姫君は、いつでも目だたぬふうにしてあの宇治の山荘へ来た薫の幻影をさやかに見た。心細い家ではあるが
僧都は弟子を呼んだ。はじめに宇治でこの人を発見した夜の阿闍梨が二人とも来ていたので
ことで初瀬へまいったのでございましたが、帰り途に宇治の院と申す所で一行は宿泊いたしたのでございます。そういたしました
「僧都のした話は宇治の姫君のことらしい、大将に聞かせてやりたい」
この僧都の言葉も浮舟は恥ずかしく聞いた。宇治で発見された時からのことを思えばそれに違いないからである。
伺おうと思っていたのですが、それも右大将さんの宇治へおいでになったお供に行ってしまいましてね。以前の八の宮
一周忌の仏事をされることになっていまして、宇治の寺の律師をお呼び寄せになって、その日の指図をしておいで
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は帰って行かれぬので、お亡れになった朱雀院の御領で、宇治の院という所はこの近くにあるはずだと僧都は
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、薬師仏の供養をその時にすることもあるので叡山へも時々行く大将であったから、そこの帰りに横川へ寄ろうと思い、
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寝殿をお使いになるほかはございませんでしょう。初瀬や奈良へおいでになる方はいつもそこへお泊まりになります」