軽井沢の夏と秋 / 片山広子

軽井沢の夏と秋のword cloud

地名一覧

追分

地名をクリックすると地図が表示されます

がたくさん姿をあらはして私たちの食膳をゆたかにした。追分あたりからどんどん牛肉が来るやうになると、私はその肉を買つて東京の

大井町

地名をクリックすると地図が表示されます

東京に帰れない場合は彼の妻の実家である岐阜県の大井町へ行つてみるつもりらしかつた。急に彼に死なれて私は疎開する

浅間山

地名をクリックすると地図が表示されます

さはなく荒れ果てた軽井沢ではあつたが、その朝の浅間山はしづかな平和な姿を見せてゐた。煙はみえなかつた。その山

軽井沢

地名をクリックすると地図が表示されます

軽井沢の夏と秋

。その時も彼は空襲がだんだんひどくなるから母さんは早く軽井沢に行つた方がよろしい、自分たちもすぐあとから行くからと私を急かして

もすぐあとから行くからと私を急かしてゐた。もし軽井沢から急に東京に帰れない場合は彼の妻の実家である岐阜県の大井町

から三月ばかり立つて六月中ばにやつとのこと軽井沢に出かけて行つた。

故郷を持たない人たち、つまり東京人種が無数に軽井沢にあつまつて来てゐた。別荘をもつてゐる人たちはその自分の

その叔父の長男である。彼はたびたび手紙をよこしたり、軽井沢にも訪ねて来て、平和になつて東京に帰れるのは何時の事か

身にとつては、わかい時から毎年来て住みなれた軽井沢を捨ててそちらに行くことは勇気の入ることであり、それにお金がなく

何とかあいさつをしなければならないので、東京から軽井沢まで一しよに来て暮してゐた若い家政婦のKを代理に新潟まで使に

Kを代理に新潟まで使にゆかせることにした。軽井沢で手に入る少しばかりの土産と、私の冬の着物やショール浴衣なぞ

身に一大変化が来るのだらうか? それとも軽井沢に大きな危険が来るから私に逃げろとでも言ひに来たのかしら? 

て私はいよいよ帰京する気もちになつた。新潟の従弟が軽井沢まで見舞に来てくれた。彼の親切に私はしみじみ礼を言つて、

十月のごく末になつて軽井沢を立つて来た。以前のうつくしさはなく荒れ果てた軽井沢ではあつたが

軽井沢を立つて来た。以前のうつくしさはなく荒れ果てた軽井沢ではあつたが、その朝の浅間山はしづかな平和な姿を見せてゐ

新潟

地名をクリックすると地図が表示されます

ません、もしもつと悪い状態になつたら、その時に新潟へ行らつしやい。地方の裕福な家庭の中に、たとへこんなあぶない世の中

入ることであり、それにお金がなくなつた時、はるばる新潟から東京までお金を作りに出て来ることは相当な努力だつた。むかし

所をあけて待つてゐます、宿屋生活をきり上げて新潟の方にいらつしやいと言つてくれた。ほんとうに、その方が

亡夫の故郷である新潟の田舎に従弟がみそ醤油の商売をして繁昌してゐた。亡夫

一しよに来て暮してゐた若い家政婦のKを代理に新潟まで使にゆかせることにした。軽井沢で手に入る少しばかりの土産

午前中Kが新潟から帰つて来た。白米、小豆、みそ、みそ漬といろんな土産を貰

十月になつて私はいよいよ帰京する気もちになつた。新潟の従弟が軽井沢まで見舞に来てくれた。彼の親切に私はしみじみ

東京

地名をクリックすると地図が表示されます

行くからと私を急かしてゐた。もし軽井沢から急に東京に帰れない場合は彼の妻の実家である岐阜県の大井町へ行つて

故郷を持たない人たち、つまり東京人種が無数に軽井沢にあつまつて来てゐた。別荘をもつてゐる

立派な奥さんと道づれになつた。立派といふのは、東京に於ける過去の生活が立派であつたらうと思はせる人で、この日の

の儘でしんばうなさい。その時分になつたら、あるひは東京に帰れるかもしれません、もしもつと悪い状態になつたら、その時

であり、それにお金がなくなつた時、はるばる新潟から東京までお金を作りに出て来ることは相当な努力だつた。むかしから友だち

よこしたり、軽井沢にも訪ねて来て、平和になつて東京に帰れるのは何時の事か分らない。私たちの家は広いから隠居所

の商売をして繁昌してゐた。亡夫の父が東京に出てくる時に、自分の家敷とすこしばかりの金を弟にやつ

ても何とかあいさつをしなければならないので、東京から軽井沢まで一しよに来て暮してゐた若い家政婦のKを代理に新潟

か変事があるのでせうか? それとも、東京のお宅の事でせうか?」彼もTがまぼろしに来たこと

た。彼の親切に私はしみじみ礼を言つて、もし東京に住みにくいことがあれば今度こそは越後へまゐりますから、どうぞよろしくと

東京にもう一度住めるやうになるかどうかもはつきり分らず八月と九

牛肉が来るやうになると、私はその肉を買つて東京の家の地主さんや親しい家に贈つたりした。

いらしつたが、秋になつてからは宮内大臣とか東京の貴婦人なぞが御機嫌伺ひに見えて、さういふ人たちがみんなこの宿屋に

やうな気もちで、もとの枯草のかげにまた置いた。東京そだちの私は一生に初めて蛇の玉子を見て奇妙な心もちがした