広島市 広島 東京

にあるスヰツチを静かに捻る。……突然、原爆直前の広島市の全景が見えて来た。

僕は叫ぶ。僕の眼に広島上空に閃く光が見える。光はゆるゆると夢のやうに悠然と伸び拡る

。どこかへ、どこかへ）それから僕は東京と広島の間を時々往復してゐるが、僕の混乱と僕の雑音は増え

始ると知つてゐた。僕は家を畳んだ。広島へ戻つた。あの惨劇がやつて来た。飢餓がつづいた。東京へ

からみつくものから離れられなかつた。僕は焼けのこつた東京の街の爽やかな鈴懸の朝の舗道を歩いた。鈴懸は朝ごとに

行きたい。どこかへ、どこかへ）それから僕は東京と広島の間を時々往復してゐるが、僕の混乱と僕の雑音

やられた。それから僕は東京を彷徨つて行つた。東京は僕を彷徨はせて行つた。（僕のなかできこえる僕の雑音

間もなく僕は東京へやられた。それから僕は東京を彷徨つて行つた。東京は僕を彷徨はせて行つた。（僕

に知られてしまつた。それから間もなく僕は東京へやられた。それから僕は東京を彷徨つて行つた。東京は僕

つた。あの惨劇がやつて来た。飢餓がつづいた。東京へ出て来た。再び飢餓がつづいた。生存は拒まれつづけた。